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「ニッポンのカメのいる風景」写真コンテスト入賞者発表!

2014.01.07
告知

「自然しらべ2013 日本のカメさがし!」連動企画

「ニッポンのカメのいる風景」写真コンテスト入賞作品発表!

お子さんから研究者まで、誰もが気軽に参加できる自然しらべでは、調査報告の際に対象の生きものを写真に撮って送っていただく形式をとることで、1枚1枚写真を見て種類を確認することができるため、ただの目撃情報とは異なり、研究者の調査と同様の高い精度の調査記録を得ることができています。
その記録写真の中には、親子でほのぼのとした調査風景の写真から、生態写真として優れたものや芸術的な写真まで、アッと!と驚く画像も多く含まれています。
今年は調査期間中に撮影・投稿された記録写真を対象に、株式会社ニコンの協力で「ニッポンのカメのいる風景」写真コンテストを行い、5名の方が入賞されましたのでご紹介します。

shirabe_photocon1.jpg▲入賞された方には賞品として株式会社ニコンより、右記のカメラを贈呈いたしました

グランプリ賞 小峯昇さん(埼玉県)

みんなそろって甲羅干し

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撮影日:
2013年6月4日 10時
撮影場所:
埼玉県さいたま市大宮区高鼻町 氷川神社の池
感想:
大宮氷川神社の境内には神池というこじんまりした池があります。本殿に向かう橋から池を見下ろすと、人の気配を感じで集まった錦鯉の先にある小さな島が目に入ります。岩の塊でできたごつごつした島ですが、よく見るとカメがこの島を覆い尽くすようにびっしりと取りつき甲羅干しをしています。
近年、アカミミガメが目立ちクサガメやイシガメの数は少なくなっており気にしていました。
今年の6月4日に神池に立ち寄りぐるっと見回してカウントしていたところ、池の西端の木漏れ日が当たる所にカメが並んでいました。右端のカメは大きく、甲羅は平滑なので一目でスッポンと分かりました。スッポンは芝川でもときどき見かけますが数は多くありません。まずは写真を撮ろうとファインダーを覗いたところ、何と4種類のカメが仲良く日向ぼっこをしていたのです。これには驚きました。
<推薦>
クサガメ、ミシシッピアカミミガメ、ニホンイシガメ、ニホンスッポンの成体がそれぞれ1頭ずつ一列に並んでいて、まるで日本列島のカメの「基本4種」が例示されているようなおもしろさを感じました。左の3頭はいずれも産卵可能な体の大きさのお母さんガメですが、ニホンスッポンの性別は分かりません。少なくともニホンイシガメとミシシッピアカミミガメは、小峰さんがカメラを構える姿を気にしているような目線ですね。初夏の晴れた日ののどかな光景なのですが、外来生物問題が写し込まれていることも忘れることができません。

矢部 隆(愛知学泉大学教授、なごや生物多様性センター長、日本カメ自然誌研究会代表)

みんなで守ろう賞 菊原由希子さん(愛媛県)

shirabe_photoconminnademamorou.jpg

撮影日:
2013年9月22日18時頃
撮影場所:
沖縄県石垣市 林道
感想:
沖縄県の石垣島のそばの黒島でウミガメ放流観察会に参加した後に、石垣市の林道での出来事でした。探してはいたけれど、まさか本当に天然記念物に会えるとは思っていなくてびっくりしました。
<推薦>
この写真には二つの「あっ!」という驚きが写っています。一つ目はもちろん真ん中の「ヤエヤマセマルハコガメ」君。日本では沖縄県の石垣島などにしか住んでいない天然記念物です。環境省版レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているそうです。
よくぞ見つけました。二つ目は左上に写っているタイヤ。「あっ、危ない!」と思わず声が出ます。
道路が整備されて、人が便利になる代わりにカメが危険にさらされています。みんなで守りたいですね。

木村透(読売新聞東京本社学事支援部長)

みんなで防ごう賞 今津健志さん(千葉県)

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撮影日:
2013年9月22日11~14時頃
撮影場所:
千葉県佐倉市山崎 土水路
感想:
私がカミツキガメを確認したのは千葉県佐倉市山崎の鹿島川沿いにある水田地帯にある土水路で、ここでは2010年から春と秋のみ越冬調査を行っています(手探りで捕獲)。確認できるのはクサガメとカミツキガメの2種のみで、そのほとんどがクサガメなのですが、1回の調査で1~3個体のカミツキガメが捕獲できました。
今回お送りした個体は1歳と3歳でしたが、このサイズですと捨てられたものではなく、繁殖して増えた個体だと考えられます。 カミツキガメの成体はこの調査では捕れたことがありませんが、調査している土水路は幅が2m程度とかなり狭いため、おそらく灌漑期以降水田地帯から河川に移動していると思われます。
クサガメもかなりの数が見つかっており、この場所の土水路は泥の堆積が非常に多く、越冬時に泥に潜る傾向が強い両種にとって非常に好適な環境であるため、個体数が多いと考えています。
<推薦>
写真のカメはおそらく甲長が数cmの小さな幼体ですが、カメにお詳しい今津さんは見逃さずに観察されています。鹿島川は、カミツキガメが多数見つかる印旛沼水系に属する流域なのですが、「感想」欄で記しておられるように、この画像は当地でカミツキガメが繁殖している証拠となり得る点で重要なものです。この地域で約4年間調査を継続されているからこそ、このシャッターチャンスを得られたのだと思います。今後も観察調査を継続され、カメの生態の貴重な写真を撮られることを期待します。

矢部 隆(愛知学泉大学教授、なごや生物多様性センター長、日本カメ自然誌研究会代表)

日本のカメのいる風景賞 金丸大地さん(東京都)

shirabe_photoconkamefukei.jpg

撮影日:
2013年8月11日お昼頃
撮影場所:
和歌山県有田郡湯浅町 田んぼのあぜ道
感想:
実家に帰省中、亀(その時は多分クサガメ)を見つけたので、今年も捕まえると張り切っていました。でもそんなに捕まえられるもんじゃないだろうと思っていたら、着いてすぐ散歩に出た時にこの亀を見つけて、大興奮でした。数日飼った後帰京前に逃がしてやりました。写真は逃がした日のものです。
<推薦>
日本の固有種であるニホンイシガメですね。カメラアングルをカメまで下げたことで、里山の風景をうまく取り入れたユニークな構図となっています。数日一緒に過ごしたニホンイシカメが、田んぼに向かって歩きながらも、つぶらな瞳で作者親子を振り返っているようにも見えます。
何気ない日本の原風景にニホンイシガメがあたりまえのように生息する自然を守り、いつまでも残していきたいと思わせるほのぼのとした作品です。

山崎英雄(株式会社ニコン経営企画本部CSR統括部社会貢献室長)

楽しくしらべました賞 崎野楓さん(山口県)

shirabe_photoconshirabemashita.jpg

撮影日:
2013年8月26日 14時頃
撮影場所:
山口県下関市 小学校の通学路の川
感想:
カメの自然しらべのことを新聞で知り、夏休みの思い出に、お父さんと一緒にカメさがしに出かけました。水草の下に隠れているカメを手探りで見つけた時は大興奮でした。
<推薦>
大きなクサガメを持って、にっこり記念写真(記録写真)。こんな感じで自然の中で生きものとふれあえたら、なんと楽しい事でしょう。自然しらべで毎年テーマを変えながらしらべる生きものたちは、身近な自然で誰でもが見つけることができる生きもので、お子さんにとっては身近な仲間だったりします。微笑ましい夏の思い出ですね。

大野正人(公益財団法人日本自然保護協会教育普及部長)


「ニッポンのカメのいる風景」写真コンテスト選考会(2013年12月6日、読売新聞東京本社会議室)

審査委員

shirabe_photoconshinsa.jpg▲選考会の様子。左から大野正人、木村透、矢部隆、山崎英雄、大村慶子、恒川良輔(敬称略)

学術協力:
矢部 隆 愛知学泉大学教授、なごや生物多様性センター長、日本カメ自然誌研究会代表
共 催:
木村 透 読売新聞東京本社 学事支援部長
恒川 良輔 読売新聞東京本社 学事支援部
協 力:
山崎 英雄 株式会社ニコン 経営企画本部CSR統括部社会貢献室長
大村 慶子 株式会社ニコン 経営企画本部CSR統括部社会貢献室
NACS-J事務局:
大野 正人 日本自然保護協会 教育普及部長
萩原 正朗 日本自然保護協会 教育普及部

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