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猛禽類の生息地保全

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2013.09.24

「サシバの保護の進め方(案)」へのパブリックコメントを提出しました。

環境省による「サシバ保護の進め方(案)」へのパブリックコメントを提出しました。
今回のサシバ保護の進め方が、昨年改定された「猛禽類保護の進め方改訂版」とどういう関係にあるのか、その位置づけが不明確でしたので、きちんと分冊版として位置づけ、環境影響評価の手続に効果的に使われるよう意見をしました。
生息数が減少傾向にある本種の保全にきちんと効果のあるものになることを期待します。
2013年9月22日

「サシバの保護の進め方(案)」に対する意見

 

公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章

 

 

意見1

「サシバの保護の進め方」を「猛禽類保護の進め方改訂版」の別冊として位置づけ、その事を明記するべきである。
(理由)
「猛禽類保護の進め方改訂版」(環境省、2012年)では、生物多様性基本法の基本原則や2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議で採択された戦略計画に基づき、我が国の生態系の頂点に位置する猛禽類の保護の進め方を提示している。この中では、開発事業と摩擦が依然して危惧されかつ生息や生態について情報が蓄積しつあるイヌワシ、クマタカ、オオタカの3種を中心に 、各開発行為に際しての保全措置検討のための考え方を明らかにしている。サシバについてもコラム的な扱いではあるが、保全措置の考え方と調査方法について指針を示している。今回の「サシバ保護の進め方」は、「猛禽類保護の進め方改訂版」の発行以降に一定程度の情報の蓄積があり、改めて議論を進めて発行に至ったと考えられる。環境影響評価の手続きの各段階での有効活用を期待するのであれば、これまで参考資料として利用されてきた実績のある「猛禽類保護の進め方改訂版」の別冊として位置づけ、そのことを明記することで有効に活用されるようにすべきである。
【該当箇所】はじめに
 
 
意見2
環境適応能力が高く、代償措置をとりやすいと受け取られる表現であるため、本文章を削除もしくは表現を変えるべきである。データ上も、季節変化に対応し獲物を変えていることがわかる。これは繁殖ステージに応じて、効率よく採餌していることを示しているのであって、環境に応じて獲物を変更することができることを示しているとは考えられない。
【該当箇所】P.6 ウ食性と採食環境  (該当部分文章:サシバはある程度環境に応じて獲物を変更することができる)
 
 
意見3
単位を統一するべきである。「猛禽類保護の進め方改訂版」では㎢を用いており、本進め方においても㎢を用い、統一したほうが利用しやすい。
【該当箇所】P.8 2.生息環境 (1)行動圏 (該当部分文章: 27.4~284.4ha、58.9~233.75ha)
 
 
意見4
サシバの生息環境は、人間の生活範囲にあり、常に開発の危機にさらされやすい場所であることを明確に示すべきであるため該当文章を以下のように修文するべきである。
「サシバは、丘陵地から低山帯における谷底の水田を丘陵林が囲んでいる里山環境や、山地帯の谷部等に生息することが多い。こうした場所は、おもにダム建設事業、道路建設事業、住宅地や工業団地等の面的な開発事業等にさらされることが多く、かつ影響を受ける事例が見られる。」
【該当箇所】p.13 Ⅱ章 1.サシバの生息に影響を及ぼす事例等 (該当部分文章:サシバは、丘陵地から低山帯における谷底の水田を丘陵林が囲んでいる里山環境や、山地帯の谷部等に生息することが多いことから、おもにダム建設事業、道路建設事業、住宅地や工業団地等の面的な開発事業等により影響を受ける事例が見られる。)
 
 
意見5
生息状況を予測するモデルは有効であるが、確実ではない。その点が分かるように以下の文を付記するべきである。なお、この付記すべき文章は、「猛禽類保護の進め方改訂版」に記載されている文章である。
「このようなモデルによる予測は、モデルをつくった場所以外の地域に適用すると、生息羽数や生息確率といった絶対値はあてはまりが悪くなるが、複数の事業予定地間で事業による猛禽類への影響の大きさを相対的に比較する場合には有用であり、一定の利用価値がある。」
【該当箇所】P.15 (1)生息状況の情報収集
 
 
意見6
それぞれの根拠を示すべきである。猛禽類は繁殖状況によっては早朝から行動をし、エサ運びを行う。したがって繁殖ステージによって調査時間は異なることが想定できる。しかし、本文章では、時間を「9~15時頃」と限定している。この時間がサシバの行動圏調査において代表される時間となった根拠を示すべきである。また、猛禽類の行動は天候によっても左右されるため、繁殖ステージに1回2日では、天候による差異を考慮できないと思われるが、この調査日数でよいとした根拠を示さなければ、調査回数が妥当かどうかの判断ができない。
【該当箇所】P.16 ウ 調査方法 ①行動圏調査(該当部分文章:「9~15時頃」及び「各繁殖ステージに1回(連続2日程度)」)

 
 
意見7
サシバは、繁殖ステージに応じて採餌場所の環境を変え採餌している。このためどういう環境がサシバの生息に重要なのかの解析が必要である。地形と植生をそれぞれ調査するのみならず、地形と植生の情報をGISで重ね合わせ、その組み合わせから環境区分の解析をする必要がある。この点を調査内容に付記するべきである。
【該当箇所】P.17 ウ 調査方法 ④ 自然環境(地形、植生)調査
 

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