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私の「とっておきの自然」を見つける視点

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2013.04.24

NACS-Jスタッフが明かす!
私の「とっておきの自然」を見つける視点

全国のさまざまな自然を訪れるNACS-Jスタッフに、それぞれの自然の見方と、印象深い場所を聞きました。ここでは、NACS-Jプロジェクト地域以外の自然(下の地図の1~10の地点)をご紹介します。

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印の場所については、会報『自然保護』2013年5・6月号の特集でご紹介しています。

1:尾岱沼 【旅の視点:生きものたちに出会う】
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北海道東部、別海(べっかい)町の野付(のつけ)湾に面する地域、尾岱沼(おだいとう)は、知る人ぞ知る野鳥観察スポット。
夏に行く人が多いが、4月頭ころには、全国の白鳥たちの北帰行のための中継地点となるため、大きな群れとなって北へ向かうV字やI字の編隊が見られる。編隊が頭上を越えていく光景は感動的。秋から冬にかけてはオオワシやオジロワシも多く、夜明けごろ霧が晴れる中から、大木に鈴なりに止まるオオワシ達が現れるさまは圧巻。防寒着必須。

尾岱沼が面する野付湾は、全長約26kmの日本最大の砂嘴(さし)である野付半島に囲われ、水深が浅くて海草が多く北海エビをはじめとする豊かな海として知られている。その豊かな自然環境と、地理的条件から多くの野鳥が集まる野付半島一帯は野付風蓮道立自然公園に指定されており、2005年には、「風蓮湖・春国岱」の地域がラムサール条約に登録された。

■アクセス
別海北方展望塔がある、野付湾に面した国道244号線沿いの春別川河口付近が、12月~3月にかけて数百羽の白鳥が集まる「白鳥台」と呼ばれる観察スポット。
◆車:中標津空港からR272号線(標津方面)→国道244号線(根室方面)約40分。

■問い合わせ
別海町観光協会
TEL:0153-75-2111

2:栃ヶ森山周辺のブナ林  【旅の視点:美しい自然を満喫する】
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(写真:古野 寛)

奥羽山脈の中央部、栗駒山と焼石岳の間にある栃ヶ森山周辺のブナ林は、古くから樹木が伐採されることなく原生的な自然が残されてきた貴重な森で、一帯が栗駒・栃ヶ森周辺森林生態系保護地域(※)に指定されている。

森を抜ける仙北道は、古く平安の昔から仙台側から秋田側へと人々を結ぶ街道で、さまざまな物語を紡いできた。大正時代に平和街道(現在の国道107号線)が開通した後は使われなくなり、一時消失したものの、1990年に岩手県胆沢町愛宕公民館踏査隊が2日間かけて踏査を行ったことをきっかけに復活。一帯が生態系保護地域に指定されていることから今も開発から逃れ、手つかずの自然の中でほぼ昔のままの姿を残す「奇跡の古道」ともいえる。途中で小出川とぶつかるあたりは、立派なブナときれいな川の流れが実に美しい。

ただし、この街道のメーンルートは、秋田県側のスタート地点(林道終点)「姥懐」から、岩手県側ゴール地点「大寒沢林道終点」まで、延長12km以上。途中、柏峠(1,018m)を越え、小出沢にくだり、さらに大胡桃山(934m)を登る険しいコースで、踏破には高い登山スキルが要求される。街道はヤブ払いをした程度の自然のままの状態で、山間部には標識もないため大変迷いやすく、案内人なしで歩くことは困難。地元ガイドの同行必須(※)。利用可能期間は、雪解け後の6月~10月末頃まで。

※森林生態系保護地域は、国有林のうち、原生的な天然林を保存する事により自然環境の維持、動植物の保護、遺伝資源の保存、学術研究に役立てるために設定したもの。原則として手を加えずに自然の推移に委ねる「保存地区」 と、保存地区に外部からの影響が直接及ばないような緩衝の役割を果たす「保全利用地区」からなる。栃ヶ森山周辺は「保存地区」となっている。

(仙北街道の案内人は、以下問い合わせ先施設で紹介しています。)

■アクセス
◆JR奥羽本線「十文字駅」下車→車で約18分(R342)
 JR東北新幹線「一関駅」下車→車で約120分(R342)

■問い合わせ
◆東成瀬村まるごと自然館(指定管理者:エスコーター岳遊会)
秋田県雄勝郡東成瀬村椿川字堤31-2
TEL:0182-47-2362

◆奥州市胆沢愛宕公民館
岩手県奥州市胆沢区若柳愛宕155
TEL:0197-49-2201

3:栃木県渡良瀬遊水地  【旅の視点:自然保護の歴史を知る】
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足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ無害化することを目的に渡良瀬川下流に作られた遊水池。
遊水地となる以前は、洪水が多発するものの肥沃な土地で、人口およそ2700人、戸数450戸ほどの谷中村が存在し農業を営んでいた。
足尾鉱毒事件によりイネの立ち枯れなどの大きな被害を受けた谷中村は反対運動の中心地となっていくが、政府はその反対運動を食い止めるため谷中村の廃村を決し、1907年には立ち退きを拒んだ村民宅を強制破壊。1908年には谷中村全域を河川地域に指定した。日本の環境問題の発祥の地ともいえる。

現在は関東最大級の湿地となっており、広大なヨシ原は新緑の5月が美しい。希少種約50種を含む700種以上の植物種(トネハナヤスリ、タチスミレ、ノジトラノオ等)が生育するほか、イヌワシ、コアジサシ等が生息し、大規模なチュウヒ(鳥類)の越冬地にもなっている。2012年7月にはラムサール条約登録湿地となり、治水と湿地の保全・再生の両立をめざした取り組みが進められている。

■アクセス
◆車
東北自動車道「館林IC」から、約20分
北関東自動車道「佐野田沼IC」から、約30分

◆電車/バス
東武日光線「板倉東洋大前駅」「新古河駅」「柳生駅」下車 徒歩約10分
JR宇都宮線(東北本線)「古河駅」「野木駅」下車 徒歩約10分

■問い合わせ
群馬県 環境森林部自然環境課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
TEL:027-226-2872
Eメール:kanshizen@pref.gunma.lg.jp

4:東京都神津島  【旅の視点:地域固有の生態系を見る】
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東京から南へ180kmに位置する伊豆諸島の島のひとつで富士箱根伊豆国立公園に含まれる。島の周りには黒潮が流れ、比較的温暖で湿潤な気候。島中央の天上山(標高571m)は、山頂の半分が一年を通じて霧が立ち込める湿潤な環境で、半分は乾燥し砂丘のようになっているという不思議な環境。

お花畑と湿地、岩場、白い砂漠が続く風景は、まるで3000m級の高山のよう。コウヅシマヤマツツジや、伊豆諸島固有種も見ることができる。山を下りたら、海の幸(地元の魚介、くさや)や、温泉が待っているのがうれしい。ダイビングやスノーケルポイントなども整備され、黒潮が流れる海の豊かさを体感できる。

■アクセス
◆東海汽船
ジェット船:東京から約3時間45分
定期船:東京から約11時間(夏季約10時間、冬季約12時間)
横浜から約10時間30分(寄港しない季節・曜日あり)

◆神新汽船・定期船
下田から約2時間30分

◆新中央航空・航空便
調布から約45分

■問い合わせ
神津島観光協会
〒100-0601 東京都神津島村37-2 まっちゃーれセンター内
TEL:04992-8-0321

5:三重県銚子川  【旅の視点:美しい自然を満喫する】
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日本有数の多雨地帯の大台ケ原に端を発し、三重県南部をへて熊野灘に流れこむ二級河川。「河口部まで透明」といわれる透き通った清流で、川の水が海の水に接する汽水域では、境目にゆらゆらと水が揺らめく様子(ゆらゆら帯)を見ることができる。

源流部が日本有数の多雨地帯であり、かつ河川長約20kmに対して標高差が1600mと急こう配で山間部を一気に流れ下ること、流域人口が少ないことなどにより、奇跡的ともいえる透明度が保たれている。アユやアマゴ、ヨシノボリなど多くの魚たちも生息。夏にはたくさんの「川ガキ」達と共に、大人も童心に帰って心ゆくまで美しい自然を満喫できる。

※河川での水量などにより危険がともないますので、川遊びの際には安全面に充分配慮してください。

■アクセス
紀勢自動車道「紀伊長島IC」から国道42号を尾鷲方面へ約25km

■問い合わせ
NPO法人ふるさと企画舎
〒519-3408  三重県北牟婁郡紀北町海山区便ノ山271キャンプinn海山内
TEL:0597(33)0077
FAX:0597(32)3800

6:和歌山県天鳥海岸の褶曲構造  【旅の視点:大地の動きを実感する】
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(▲写真:ウェブサイトきのくに風景賛歌提供、神保圭志撮影)

和歌山県天鳥海岸の褶曲構造。一目でわかる折りたたまれた地層は、視覚的にも衝撃的。海岸一帯にうねるような地層が広がり、大地の変動を体感することができる。

この構造は、海底に堆積した砂泥互層が地震などにより海底地滑りを起こし、折り重なってできたものではないかと考えられている。天鳥海岸がある和歌山県のすさみ町一帯は付加体(※)である四万十層で、天鳥海岸もその一部。日本は付加体でできていることを実感できる場所。

※付加体は、海洋プレートが大陸プレートに沈み込む際に、海洋プレート上の堆積物が陸側に押し付けられたもの。日本列島の周辺では、約3億年前から断続的に海洋プレートが沈み込んでおり、その付加体が日本列島の骨格を形成しているとされる。

※海岸の岩場は道が未整備で迷いやすいため、訪れる際には十分な注意が必要です。また、波の高いときは大変危険なので行かないでください。

■アクセス
◆JR紀勢本線周参見駅より車で約10分。
国道42号線脇の小道から磯に降りるが、今は案内板が失われ、小道もわかりにくいため地元の詳しい人にガイドを頼むのがよい。

■問い合わせ
すさみ町役場
〒649-2621 和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見4089
TEL:0739-55-2004
FAX:0739-55-4810

7:島根県隠岐諸島  【旅の視点:地域固有の生態系を見る】
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島根半島の北方約50kmに位置し、大小約180を超える島で構成される隠岐諸島。約一万年前に現在のような離島となり、オキシャクナゲをはじめ独特の進化を遂げた生物種も多い。島の成り立ちや対馬暖流の影響などから、北方系、南方系、高山性、大陸系、氷河期時代の生き残りなどの植物が、海岸に近い低地部分に混在して生育するという、独自の不思議な自然景観がみられる。
隠岐諸島がユーラシア大陸の一部であった時代からの古い歴史を刻んだ地層や、特異的な生態系から2009年には日本ジオパークに登録された。海岸線の地形はダイナミックで何度見ても圧倒される。海の中まで美しい島。大山隠岐国立公園に指定されている。

■アクセス
◆飛行機:
出雲空港(約30分)または大阪伊丹空港(約1時間)から隠岐空港へ直行便が就航。

◆船:
七類港または境港港から各島の港(※)へ、隠岐汽船の高速船(約1時間)とフェリー(約2時間半)が就航。
※隠岐の島町(島後)=西郷港、海士町=菱浦港、西ノ島町=別府港、知夫村=来居港

■問い合わせ
隠岐観光協会
〒685-0013 島根県隠岐郡隠岐の島町中町目貫の四 57番地 西郷港旅客上屋3F
TEL:08512-2-1577 FAX:08512-2-1406

8:愛媛県宇和島市、遊子水荷浦の段畑  【旅の視点:人と自然のつながりを見る】
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幅1m、高さ1.5mほどの石垣の畑が、海からせりあがる急斜面に築き上げられている様は圧巻。地域では「段畑(だんばたけ)」と呼ばれ、江戸末期頃からつくられはじめたといわれている。瀬戸内の急峻な地形と、気候のなかで営まれてきた半農半漁の暮らしが色濃く残る風景。段畑から見る瀬戸内の多島海の風景も美しい。
■アクセス
◆バス:JR宇和島駅より宇和島バス、津の浦行きで約1時間。「水ケ浦バス停」下車。
◆車:松山道「西予宇和IC」から50km、約1時間20分。

■問い合わせ
だんだん茶屋/NPO法人段畑を守ろう会
〒798-0103 愛媛県宇和島市遊子2323-3
TEL:0895-62-0091

9:熊本県球磨川河口干潟  【旅の視点:自然保護の歴史を知る】
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九州山地に端を発し、八代海に流れ込む球磨(くま)川がつくる1000ha以上の広大な干潟。
球磨川の河口から約20km地点にある荒瀬ダムの撤去が決定し、2010年にゲートが全開された。泥がちだった干潟に砂が供給されアナジャコやハマグリなどが戻ってきつつある。絶滅したかと思われていたミドリシャミセンガイは急激にその数を増やした。面積が拡大したアマモ場には、休憩しにくるウナギや卵を産みにくるサヨリが増え、これらの八代の魚市場の水揚げ量も増えている。2012年からは本体撤去工事が開始。
全国初の一級河川におけるダム撤去であり、今後の自然環境の復元を検討するうえでも貴重な事例となる。

■アクセス
◆車:九州自動車道「八代IC」から国道3号線を水俣方向へ

■問い合わせ
八代市役所環境課
〒866-8601 熊本県八代市松江城町1-25
TEL:0965-33-4114

10:沖縄県石垣島ヤエヤマボタルの乱舞  【旅の視点:生きものたちに出会う】
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(写真:石垣島エコツアーりんぱな)
日本最小で石垣島と西表島のみに生息するというヤエヤマボタルは、繁殖期である3月半ば~6月頃の日没直後、30分ほど群れとなってまたたき、山肌を光のじゅうたんで包み込む。「まるでホタルの世界に入ってしまったかのような幻想的な光景で、まさに『一生忘れられない』美しい自然」(スタッフMさん)。ただし、ホタルは光に敏感な生き物なので観察の際には十分な注意が必要。

■アクセス
地元ツアーガイドにお問い合わせの上、十分な注意のもと観察してください。

■問い合わせ
石垣島エコツアーりんぱな
沖縄県石垣市桴海591-2
TEL:0980-88-2071

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