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綾プロジェクトの課題解決につながる 「綾ユネスコエコパーク」。

2012.01.06
活動報告

2011年9月28日、文部科学省が主催する「日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会第23回人間と生物圏(MAB)計画分科会」で、宮崎県の綾町周辺地域が「綾ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)に推薦されることが決定しました。
登録は、2012年の6~7月にパリ(フランス)で開催されるユネスコの国際調整理事会で決定される予定です。

会報1・2月号掲載 綾 ユネスコエコパークエリア登録される地域の総面積は1万4千580ha。
厳正に保護する核心地域は682ha、研究、教育に利用する緩衝地域は8,982ha(綾の照葉樹林プロジェクトエリア)、人と自然が共生する持続可能な地域としての移行地域は4,916ha(綾町)となります。

エリア内は国有林、県有林、町有林、私有地を含み、綾町だけでなく隣接する小林市、国富町、西都市、西米良村の一部も入ります(右図参照)。

地元主体で行われた申請

綾の森は自然林の面積が足りないことから世界自然遺産の候補地になることができませんでした。その後、自然林を復元する綾の照葉樹林プロジェクトが発足し、その調整会議で国立公園への編入、天然保護区域指定への動きなど、地元から新たな保護地域の設定への要望が出されていました。

NACS‐Jは、綾の照葉樹林を守る方法のひとつとしてMABを綾町に紹介し、地域の合意形成に協力するなど、今回の推薦決定に至るまでの動きに当初から関わってきました。

今回の綾ユネスコエコパークの登録による自然保護上の大きな意味は、
①奥山から里やまに至る地域すべてを保護地域にしたこと、
②地元の綾町が登録に向けて主体的な役割を果たしたこと、
③有機栽培農業や自治公民館制度など、これまでの綾町の持続可能な発展のための取り組みが総合的に評価されたこと、
④多様な主体からなる関係者間の合意形成を経て申請されたこと、
⑤ユネスコエコパークへの申請の経緯や推薦によって、町民の意識が変化してきたこと、
⑥ユネスコエコパークが日本で32年ぶりに新規推薦され、地域が活用しうる制度として準備が整い、既存4地域へも活用に向けて見直しの機運が高まったこと、
⑦申請を通して新たな合意形成のしくみや保全管理計画が検討されるようになったこと、
などです。

今後、ユネスコエコパークエリアの保全管理計画と行動計画や生物多様性地域戦略の策定、多くの市民が参加できる意志決定のしくみづくりなど、これまでなかなか進められなかった課題を解決する大きな原動力になると考えています。

(朱宮丈晴/保全研究部)

 

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