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2009.11.27

大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の白化現象について(中間報告)

2009年9月28日、大浦湾チリビシのアオサンゴ群集が白化しているとの第一報告があり、合同調査チームが10/10~12に緊急調査を実施しました。沖縄リーフチェック研究会、すなっくスナフキン、日本自然保護協会のメンバーを中心にのべ39名の参加者がボランティアとして参加して行った調査の結果を、中間報告します。データ集計の結果、361ポイントのアオサンゴうち、45.7%(165ポイント)が白化していたことが分かりました。なお、調査は今後も継続して実施する予定です。

 


 


大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の白化現象について(中間報告)

2009年11月27日

安部真理子(沖縄リーフチェック研究会)、大野正人(日本自然保護協会)、中井達郎(国士舘大学)

大浦湾チリビシのアオサンゴ群集の白化現象の経緯
2009年9月28日に大浦湾チリビシのアオサンゴ群集が白化しているとの第一報告があった。それを受けて合同調査チームが10/10-12日に緊急調査を実施した。沖縄リーフチェック研究会、すなっくスナフキン、日本自然保護協会のメンバーを中心にのべ39名の参加者がボランティアとして調査に参加し、このアオサンゴ群集の白化の規模を捉える調査を行った。
ちなみに同年8月にはこのアオサンゴ群集では白化の記録はなく9月に入ってから起こった現象であることが確認されている。また興味深いことにチリビシのアオサンゴ群集と至近距離にある「神座ポイント」に生息する小規模なアオサンゴ群集においては白化現象が確認されているものの、「沖の瀬」や「ハマサンゴの丘」など沖に位置するアオサンゴ群集および他のサンゴ類において白化現象は確認されていない。このことから、この白化現象はチリビシ付近の海域に生息する造礁サンゴ群集に限定して起こったのではないかということが示唆される。

大浦湾の3Dマップ図1 大浦湾の地図。チリビシのアオサンゴ群集と沖の瀬のアオサンゴ群集の位置を示している
調査方法
1)3次元メッシュ方式(2008年に実施した3次元マップ作製時)の調査方法
最初にアオサンゴ群集の最も長い方向に沿うように岩盤上に基線となる側線100mを設置した。次に基線と直交する方向に5mおきに枝側線(50m)を設置した。その後、枝側線上にて2mおきに底質と水深と時間を記録した。時間を元に測定した水深を基準潮位に補正し、グラフィックソフトを用いて3 次元地図を作製した。底質の分類は、BC(アオサンゴ)、HC(アオサンゴ以外の造礁サンゴ類、SC(ソフトコーラル)、RC(岩)、RB(礫)、SP(カイメン)、OT(その他)である。今回の白化調査も同じ方法を用いたものの、従来の底質分類のカテゴリーにBBC (Bleached Blue Coral :白化したアオサンゴ)を加えた。

アオサンゴ調査方法の図図2 調査方法。太線が基線を示し、点線は枝側線を示す
2)ポイントサンプリング法:
基線と枝側線の位置は1)と同じものを用い、アオサンゴがある部分のみに調査範囲を限定し50cmおきに底質と藻類の付着状況を記録した。アオサンゴ群集は主として基線の15m-70m地点に分布していることから調査はこれらの枝側線に絞った。

調査結果(速報)
1) 図3のように2008年1月には健常なアオサンゴで覆われていた本群集が白化しているのがわかる。水深の浅いアオサンゴに白化が多く見られるが、10~14mの深い位置でも白化が確認されているため、白化の要因は複合的であると思われる。またアオサンゴ類以外の他の造礁サンゴ類やイソギンチャクなどの白化も記録された。

白化したアオサンゴの三次元マップ

図3  左は2008年1月、右は2009年10月に作成した3次元マップ。
青色は健常なアオサンゴ、水色は白化したアオサンゴを示す。

 

1) 調査ポイントとした700ポイントのうち361ポイントがアオサンゴであり、その中の165ポイントにおいて白化が見られた。従ってアオサンゴのうち45.7%が白化していたことが確認された。

考察
市民の手でサンゴの白化現象が報告されることも最近では多くなったが、今回の群集の規模と内容まで報告が出来るということは難しい。またアオサンゴの白化現象の報告事例もあまり多くの例があるものではない(石垣島白保での報告はある)。このアオサンゴ群集の白化が白保アオサンゴ群集の状況と異なるのは、少なくとも2008年8月から2009年9月に至るまで、継続的にアオサンゴの表面が珪藻で覆われていることである。白化すれば珪藻を払いのけることも可能であるように見られ、実際に珪藻に覆われているアオサンゴは白化現象以前よりも減少している。この現象が定期的に生じている可能性も高く、今後長期に渡って観察を続けていくことが必要である。
珪藻に関しては村上哲生氏(名古屋女子大)により珪藻の羽状目、イタケイソウ科のLicmophora sp.であることが同定された。また興味深いことにアオサンゴ群集の表面にはシアノバクテリアも多く観察されている(沖縄高専、山城秀之氏同定)。これらの藻類とアオサンゴの関係に関してもフィールドでの長期的観察が必要である。

珪藻で覆われているアオサンゴ群集

図4 珪藻で覆われているアオサンゴ群集の様子(左)とその顕微鏡写真(右)

アオサンゴ群集に付着したシアノバクテリア

図5 アオサンゴ群集に付着したシアノバクテリア

アオサンゴ群集の白化

図6 大浦湾アオサンゴ群集白化の様子(左)とそのクローズアップ(右)

今後の調査予定
次回の白化追跡調査は11/30を予定している。またデータロガー(HOBOティドビットv2)を白化状況と深度を考慮した3点に設置し水温を定期計測している。

調査協力:
荒田茂、有光智彦、小渕正美、古賀泥々、斎藤大、坂井満、神座森、後藤智哉、鈴木倫太郎、棚原盛秀、中野義勝、西平伸、西原千尋、長谷川均、花輪伸一、前島綾子、前野孝栄、牧志治、丸山利津子、目崎茂和、安田直子、柳澤涼子、渡辺謙太、有光、平和丸基金、じゅごんの里

技術協力:
村上哲生(名古屋女子大学)、山城秀之(沖縄高専)

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