日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

コリドー(緑の回廊)・森林生態系のネットワークづくり 

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2009.07.01

全国の森林における生物多様性の保全策を検討しています。

森は世界の陸地面積の3割を占め、陸に生きる生物種の8割がすむ環境です。日本は狭い島国ですが、陸地の約8割が森林で、気候の違いから場所ごとにまったくタイプの異なる森林ができています。林野庁は、全国の森において、どのような生物多様性の保全策を進めるか、「森林における生物多様性保全の推進方策検討会」で論議を進めています。
この検討会は、林業関係者や消費者団体、自然保護団体などが委員となり、2008年の11月から始まり、5月21日に第4回が行われました。その委員になっていることから、途中経過をお伝えします。

2009年7/8月号より転載


 

日本の森を所有者で分けると、大まかには林野庁管理の国有林、自治体などの公有林、会社や個人の持つ民有林の3つ。タイプも、もともとの植生の自然林、自然林でも種構成が変わった二次林(里山を含む)、人が植えた人工林(林業用と公園など)、そして逃げ出した外来種による林という4タイプに分かれ、それぞれとの付き合い方はまったく異なります。特に、「民有林の里山」と「林業のための人工林」をどうすれば多様性に役立つ場に変えられるかは、難問です。

新たな施策・制度での対応が必要

里山は公園のようにモデル的に管理するところはでき、各地の事例も増えましたが、今の管理目的はその里山ができた本来の目的(薪炭林など生活への利用)とは別のため、全国に放置されている大量の元里山には今の方法だけでは対応できません。そのため現代的な資源として再び木材を使う場とし、自動的に以前のような環境が維持される方法・施策が求められます。

また林業用の人工林は、国・公・民有林ともに、自然林に徐々に戻していく林(もし民有林であれば、そこに対する保護地域制度の創設も提案中)と、今後も人工林として持続させていく林に分け、木材生産を続ける林はできるだけ林内を明るくするなど、木材の生産とともに野生生物のすみかとしても一定の力を持つ場にしていくことが考えられています。これにも多大なコストが必要で、民有林は個々の持ち主の費用負担が原則ですが、木材需要の8割をも安い木材を輸入している中では、とても木を売って資金はつくれないといわれ、マンパワーもまったく十分ではないとのことです。

林野庁の素案では、バイオマスエネルギーや遺伝資源の利用、それらの具体化のための「奨励策の充実強化」のしくみをつくるとあります。言い換えると、森での現代的な仕事・事業づくりなのですが、その中身が多様性保全に本当に貢献するか、どうやって費用を捻出するかが問題です。新たな制度と予算措置が必要で政治的な対処も必要なため、多くの皆さんの注目と知恵を集めるべきことだと思います。
(横山隆一・常勤理事)

沖縄・国頭村の林道

 

 

 

 

 

 

 

▲沖縄県国頭村の公有林。林道が沢をつぶしながら延びていく。

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