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屋久島の自然林の保全

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2009.03.01

屋久島のシカ分布 自然保護地域に集中!

屋久島では最近、ヤクシカの生息数が増えており、絶滅危惧種を含む植生に与える影響が心配されます。NACS-Jは2006~08年度の3年間、屋久島のシカの分布と自然環境との関係を調べました(環境省委託調査)。その結果、シカの分布が、保護地域になっている自然林に集中する傾向にあることが分かりました。

2009年3/4月号より転載


もともとヤクシカは、自然林の中では落葉や、ヤクザルが落とした樹冠の葉や果実を多く食べるとされています。従って、本来の生息状況では植生に与える影響は比較的抑えられ、過度の食害を防ぐしくみが働いていたと考えられます。

屋久島は急峻な地形で、海岸付近に人の生活圏となる平地が限られることから、奥山に向かって人工造林や林道開設、田畑の整備が進められてきました。これら過去から現在までの土地利用の変化が、シカの分布集中に拍車をかけている可能性があります。

また、過去50年間のがけ崩れ発生箇所は人工林に集中しており(下図)、人間による土地改変がさらなる環境悪化を引き起こしてきたことが分かります。

 

屋久島のシカ分布

屋久島のシカ分布

今後、世界遺産地域を含めた保護地域で効果的な保全を進めるには、シカの除去のあり方の議論をはじめ、土地利用計画の見直しなど総合的な対策が必要です。

 

(保全研究部 朱宮丈晴)

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