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諫早湾の潮受け堤防を開門し、 中長期間の科学的調査を。

2008.09.01
活動報告

2008年9/10月号より転載


NACS-Jは1997年の潮受け堤防閉め切り後、大規模な有明海での調査を行い、閉め切り前の諫早の干潟が有明海全体の生物多様性を支える高い機能を持っていたという根拠を発表してきました。折りしも7月9日まで開催されていた洞爺湖G8サミットでは、「生物多様性の保全と持続可能な利用の決定的な重要性について認識し、生物多様性の脆弱性についての懸念を共有する」「生物多様性の損失速度を顕著に減少させるための努力を増大させる」という内容が盛り込まれた合意文書が発表されました。これは世界と国民に向けた宣言であるにもかかわらず、G8サミット議長を務めた福田首相が今回の控訴の判断を農林水産大臣に委ね、国が控訴したことは、この宣言を踏みにじるものです。

生物多様性戦略に基づく判断を

農林水産大臣のコメントで「開門調査のための環境アセスメント」を行う方針が示されましたが、これは「中長期開門調査」とは異なるもので、開門を前提とした干拓事業の影響を実証し、有明海の再生を目指すものとはいえません。「開門調査のための環境アセスメント」は、農林水産省の都合により開門しないことを合理化するための口実づくりになりかねません。

「アセスの方法は環境省と相談する」とのことですが、環境省は「国の環境保全をつかさどる行政府」として問題の本質を直視して、今こそ干拓事業の影響を科学的に実証する「中長期開門調査」を推進すべきです。藻場や干潟の保全・再生を盛り込んだ「農林水産省生物多様性戦略」、湿地や干潟の重要性を強調した「第三次生物多様性国家戦略」を策定したことは何だったのか、よく考えるべきです。

NACS-Jは今後も諌早問題に取り組んできた団体とも協力しながら、国に対し、控訴を取り下げ、中長期開門調査の早期実施と、有明海再生に向けた政策を展開することを強く求めていきます。

(保護プロジェクト部・大野正人)

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