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返還予定のやんばる国有林 資源利用林をつくらないことで合意

2008.03.01
活動報告

会報『自然保護』2008年3/4月号より転載


沖縄本島北部の国有林(約6900ha)は、在沖縄米軍の北部訓練場(ジャングル戦闘訓練センター、約7500ha)として、その大半が貸し付けられている。この北部訓練場の北と南の約半分(約4000ha)が日本に返還される予定となり、返還後の取り扱いを決める九州森林管理局の第6回検討委員会が、2007年11月29日、那覇市内で開かれた。議題は、機能類型区分という管理・利用方向を定める区分の決定で、この論議には10年もの時間がかけられてきた。返還地域には、イタジイやオキナワウラジロガシが優占する原生的な自然林と良好な渓流環境があり、4000種を超える野生生物の生育生息地となっている。固有種・固有亜種は多く、レッドリスト掲載種も沖縄県版188種、環境省版177種と極めて多い。

林業団体をも含め合意した機能類型区分は、図の通り。要点は、もっぱら木材資源の供給に使う資源利用林はつくらない、まとまった自然林の残る約50%の地域は自然維持タイプとする、リュウキュウマツ人工林のある地域は水源涵養タイプとし、人工林は将来、本来のシイやカシの森に戻していくなど、返還国有林すべてを基本的に保全していくとしたこと。筆者も委員として参加し、自然維持タイプの森林を中心に森林生態系保護地域の設定が必要であること、その周囲は緑の回廊に指定し、永続的な保護の中核地域にしていく必要を述べた。また検討委員会の総意として、本来は全面返還が必要との意見もつけられた。自然保護・地域開発・軍用地利用の問題が常に複雑に絡み合うやんばる。3月4日の第7回会議では、保護林のあり方が議論される。

(横山隆一/NACS-J常勤理事)

沖縄北部国有林機能類型区分
▲沖縄北部国有林機能類型区分

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