日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

岐阜・御嶽山の開発計画問題

Home なくなりそうな自然を守る 岐阜・御嶽山の開発計画問題 ニュース&トピックス 事業立地の選択段階における基本的な問題が多数 -「濁河風力発電事業(仮称)」に対する意見書の提出-

岐阜・御嶽山の開発計画問題 ニュース&トピックス 一覧に戻る

2005.07.12

事業立地の選択段階における基本的な問題が多数 -「濁河風力発電事業(仮称)」に対する意見書の提出-

NACS-Jは、岐阜県環境影響評価条例に基づき、環境影響評価方法書が縦覧された「濁河風力発電事業(仮称)」に対し、事業者の(株)斐太工務店あてに、環境の保全の見地からの意見を、林野庁中部森林管理局長、下呂市長、岐阜県知事あてに意見書を提出しました。意見書では、この事業計画について検証した結果、事業立地の選択段階における基本的な問題点が多数見出されたため、関係行政機関に対し、事業者へ立地再検討の行政指導を早急かつ強力に行うことを求めています。

▼「岐阜県・下呂市、高山市々境に計画中の濁河風力発電事業(仮称)に対する意見書」(林野庁中部森林管理局長、下呂市長、岐阜県知事あて 2005年6月9日送付)

▼濁河風力発電事業(仮称)の事業者に提出した意見書(2005年6月9日送付)

 

 


 

濁河風力発電事業(仮称)

意見書の提出

(1)氏名 財団法人日本自然保護協会 理事長 田畑貞寿
(1)住所 東京都千代田区三番町5-24山路三番町ビル3階
担当者:保護研究部/大野正人・小林愛 常勤理事/横山隆一
(2)岐阜県環境影響評価条例による対照事業の種類
 高層工作物の建設
(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第138条の工作物の建設)
(3)「環境影響評価方法書」に対する環境の保全の見地からの意見

標記当該事業計画(風力発電用風車10基の建設)は、御嶽自然休養林、御嶽県立自然公園内に立地した環境特性を鑑みると、以下に列記する多数の問題点が「立地選択段階の問題」として見出される。また、工事関連施設及び、送電設備のための開発まで考慮すれば、問題点はさらに膨らむと予想される。事業者は各種の自然環境保全制度と整合を図るため、環境影響評価以前に、関係行政の指導に基づく立地の再検討を行うべきである。

【立地に関わる基本的問題点】

問題(1) 自然公園との関係は、発電用風車(以下、風車と略記)10基の建設地の全域が御嶽山県立自然公園の指定地域内であり、3基が第三種特別地域、7基が普通地域に含まれている。この点は看過できない。

 

問題(2) 立地から除外すべき「重要な地域」との関係については、風車10基のうち、9基は水源涵養保安林に、6基は保健保安林にかかっている(5基は両方の指定地)。この計画を進めるとするならば保安林解除手続きが必要となるが、保安林を解除してまで実施する緊急性や合理性があるものとは考えられない。

 

問題(3) 代替案等を含む地域の合意形成と調整については、岐阜県内に在住の当財団会員等へのヒアリングの結果、行われた形跡がまったくない。立地選択に関わる合意形成を先行させるべきである。

以上


 

2005(平成17)年6月9日
17日自然第28号

林野庁中部森林管理局長 関 厚 殿
下呂市長      山田 良司 殿
岐阜県知事      古田 肇 殿

財団法人 日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿


岐阜県・下呂市、高山市々境に計画中の

濁河風力発電事業(仮称)に対する意見


意見

 当該事業については、株式会社斐太工務店(名古屋市)が事業者となり、岐阜県環境影響評価条例に基づき、濁河風力発電事業(仮称)に関する環境影響評価方法書が縦覧され、6月11日を期限として環境保全に関わる意見の募集を行っている。

当財団では、環境省に対する2004年2月の意見書により、今後国内で立案される風力発電施設の建設計画が自然環境上の問題を発生させないよう、次の趣旨の意見を述べ、善処を求めてきた。

  • 自然公園内の自然環境保全は、風力発電の公益よりも優先すること。
  • 計画立地から除外すべき「重要な地域」は、明確であるべきこと。
  • 計画段階で、専門家、地域住民、地域団体、利害関係者の意見を聴取し、立地の代替案をも含めて調整すべきであること。

これらは、ひとり環境省のみが考慮する事項ではなく、国土の自然環境保全に関わるすべての行政機関が判断基準とすべき事項として提示したものである。

標記当該事業計画(風力発電用風車10基の建設)をこの基準と照らし合わせたところ、以下に列記する多数の問題点が「立地選択段階の問題」として見出された。また、工事関連施設及び、送電設備のための開発まで考慮すれば、問題点はさらに膨らむと予想される。

このような立地状況にある計画案件は、本来は、当該事業者に対する立地検討段階の行政指導によって計画変更を求めるべきものである。しかしそれが十分なされず、今回のような、手続きとしての環境影響評価方法書の縦覧がなされるという事態は理解に苦しむ。

当財団は、林野庁中部森林管理局長、下呂市長、岐阜県知事に対し、当該事業者に対する立地再検討の行政指導を早急かつ強力に行うことを求める。その中では、各種の自然環境保全制度と整合するものへの変更を、森林・環境行政の責任において事業者に要求すべきである。

問題(1) 自然公園との関係は、風力発電用風車(以下、風車と略記)10基の建設地の全域が御嶽山県立自然公園の指定地域内であり、3基が第三種特別地域、7基が普通地域に含まれている。この点は、看過できない。
問題(2) 立地から除外すべき「重要な地域」との関係については、風車10基のうち、9基は水源涵養保安林に、6基は保健保安林にかかっている(5基は両方の指定地)。この計画を進めるとするならば保安林解除手続きが必要となるが、保安林を解除してまで実施する緊急性や合理性があるものとは考えられない。
問題(3) 代替案等を含む地域の合意形成と調整については、岐阜県内に在住の当財団会員等へのヒアリングの結果行われた形跡がまったくない。立地選択に関わる合意形成を先行させるべきである。

以上

 

岐阜・御嶽山の開発計画問題 ニュース&トピックス 一覧に戻る