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乗鞍岳の自然保護と観光のあり方

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2002.04.23

「国立公園特別保護地区にふさわしい、良質な自然体験の提供や野生動植物の保護を」


駐車場の空きを待つ車の列

NACS-Jは4月23日、乗鞍岳の自然を考える会との連名で、乗鞍スカイライン無料化に伴う「自動車利用適正化」及び「自然保護策」について7つの提言を提出しました。自然保護の柱のひとつである自然公園制度の中、その自然公園を代表する国立公園に関して、置かれている現状や制度のあり方等について、NACS-Jは委員会を設けるなどして、検討を続けてきました。この、中部山岳国立公園の乗鞍岳にある乗鞍スカイラインに関する提言も、その活動の一環です。

14日自然第10号
平成14年4月23日

岐阜県知事 梶原 拓 殿
長野県知事 田中康夫 殿
環境大臣  大木 浩 殿
林野庁長官 加藤鐵夫 殿

(財)日本自然保護協会
理事長 田畑貞寿
乗鞍岳の自然を考える会
会 長  飯田洋

乗鞍スカイライン無料化に伴う「自動車利用適正化」

及び「自然保護策」についての提言

日本自然保護協会と乗鞍岳の自然を考える会は、日本自然保護協会・国立公園制度検討小委員会報告書「豊かな自然・深いふれあい・パートナーシップ~ 21世紀の国立公園のあり方を考える ~ 」(平成12年度発行)の諸提言を踏まえ、シンポジウム「乗鞍岳の明日を考える」(高山短期大学記念文化講堂・2001年11月24日)を開催し、乗鞍岳の自然保護と観光のあり方について検討いたしました。

日本の国立公園はこれまで、道路建設や施設整備などの観光開発が優先され、利用者に対する質の高い自然体験の提供や、野生動植物の保護が十分ではありませんでした。乗鞍スカイラインは、年間20万台前後の車両が通行し、夏場の畳平駐車場一帯の「特別保護地区」は車と人であふれかえります。同時にスカイライン沿いの針葉樹の立ち枯れやハイマツの衰退、セイヨウタンポポなどの外来種の進入も深刻な問題です。ペットの持ち込みによって、天然記念物に指定されているライチョウへの伝染病の蔓延も心配されています。

環境庁が環境省に昇格し1年が過ぎた今、「21世紀の国立公園」のあり方を模索し、生態系の保全と良好な自然体験両方を図るためには、「マイカー規制」とともに、経験豊かなインタープリターを配置し、ビジターセンターを充実させる必要があります。平成15年のスカイラインの償還期間終了を機に、管理体制を見直すとともに、行政機関と利用者側・民間との合意形成の場をつくりつつ地元NGOと提携して、保護・利用管理計画づくりを行うべきです。

このような現状を踏まえて両団体は、下記の事項を提言するとともに、その実現を要望いたします。

  1. 長野・岐阜両県からの県道を使っての自動車運行は、低公害のシャトルバス・定期路線バスのみとし、マイカー、タクシー及び観光バスの通行は全面規制する。
  2. 乗鞍スカイライン償還後の通行期間は、自然融雪を待ち、おおむね7月から10月までとする。
  3. シャトルバス発着地や畳平には、乗鞍岳自然保護センターのような環境教育施設を充実させ、良質の自然体験サービスを提供できる体制を整備する。
  4. 乗鞍岳全域を、マイカーによる利用の場から、季節に応じて質の高い自然とのふれあいの場に転換するため、登山道・自然探勝路を整備し、自然体験プログラムの充実を図る。
  5. 訪問者に、国立公園特別保護地区にふさわしい良質な自然体験や、質の高いサービスを提供するため、経験豊かな資質のある人材(自然保護官・インタープリター・自然観察指導員・自然ガイド等々)を配置する。
  6. 上記内容の具体策の一つとして、「乗鞍岳自然案内人制度(仮称)」を創設し、民間活動とのパートナーシップによる良質な自然体験、環境教育の場づくりをする。例えば、日本自然保護協会に登録している「自然観察指導員」、その他地元の自然研究者、自然保護教育実践者等による受け入れ態勢を整備する。
  7. 環境省を中心に、林野庁、地方自治体、それに民間の自然研究団体・自然保護団体・山岳会等々の関連諸団体からなる「乗鞍岳の自然保護と利用に関わる協議会(仮称)」を設け、官民一体となった管理・運営計画を立てる。
以上

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