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2001.10.01

沖縄のジュゴン保護の要請のため米連邦政府やNGOを訪問

会報『自然保護』No.460(2001年10月号)より転載


沖縄のジュゴン保護のため、7月29日から8月5日まで、日本環境法律家連盟とともに米国ワシントンにある連邦政府機関やNGOを訪問した。

沖縄県のジュゴン生息地は、在日米軍普天間基地移設によって影響を受ける可能性があり、NACS-JなどNGO6団体は、昨年の世界自然保護会議(主催・IUCN、開催地・ヨルダン)で、ジュゴン保護に関する勧告を提案した。この勧告は、全会一致で採択され、会議終了後、両政府の代表はジュゴン保護についてスピーチを行った。このIUCN勧告の尊重を連邦政府機関に求めること、米国のNGOなどジュゴン保護関係者と情報交換をすることが今回の訪米の目的であった(これまでの経緯は『自然保護』9月号参照)。

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←連邦政府機関訪問にそなえ、日米NGOで打ち合わせ

沖縄のジュゴン絶滅は、米国の法律違反にもなる
連邦政府機関としては、海洋哺乳類委員会、内務省魚類野生生物局、大統領府環境委員会、同国家安全保障委員会、国務省海洋保護局を訪ねた。普天間基地移設の当事者である国防総省海兵隊との会合は残念ながらキャンセルされてしまった。

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←ホワイトハウスの裏にある大統領府環境委員会を訪問。基地移設に伴うジュゴンへの影響については連邦政府にも責任があるという考えを示してくれた。

海洋哺乳類委員会は、米国海洋哺乳類保護法を所管する政府諮問機関であり、世界自然保護会議の勧告を受け、すでに今年1月には国務省と国防総省に対して、「普天間基地移設がジュゴンに与える影響について、日米共同調査を支持すること。海兵隊は普天間基地移設に伴う環境配慮は日本の責任としているが沖縄のジュゴンが絶滅したら米連邦政府の法律にも違反する」という手紙を出してくれていた。

内務省魚類野生生物局は、米国の種の保存法を所管する政府機関である。米国には生息していないジュゴンがなぜ米国の種の保存法で指定されているかについて、1970年当時ジュゴンが生息するパラオが米国の信託統治領であったため、パラオを含む全世界のジュゴンが指定種となったと説明してくれた。種の保存法の第7条(協議義務、連邦政府機関が指定種に影響を与える行為をする場合には内務省長官に協議する義務がある)を日本の領土内に適用できるかどうかについては否定的であったが、第8条(国際協力)を生かした国際協力には積極的で「日本からの要請があれば専門家派遣も可能」とのことであった。

連邦政府の公式見解は「環境配慮は日本の責任」だが……
大統領府環境委員会は、国家環境政策法に基づく環境アセスメントに責任を持つ組織で、環境問題に関係する連邦機関を調整する権限も持っている。米国の環境アセスメントを日本の領土内で実施する可能性については否定的だったが、普天間基地移設に伴うジュゴンへの影響については連邦政府にも責任があるという考えで、NACS-Jなどが求めている計画段階のアセスメントの必要性にも理解を示してくれた。

国家安全保障委員会は、大統領直属の防衛政策機関で、アジア担当者は沖縄に駐留したことがあり日本語が話せる人だった。普天間基地移設がジュゴンに与える影響については、環境配慮は日本の責任という連邦政府の公式見解を繰り返したが、ジュゴンがおかれている状況には理解を示してくれた。

国務省は、日本の外務省にあたる機関である。世界自然保護会議で勧告が採択された際、国務省の代表が「日本からの要請があれば環境アセスメントに協力する」と宣言したことを実行していただきたいと要請した。会談したのが、海洋保護を担当する部局の人だったので、ジュゴンの保護には理解を示し、国防総省への働きかけを約束してくれた。

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←沖縄県国頭村の沖合を泳ぐジュゴン(パラグライダーから撮影)。撮影・ジュゴンネットワーク沖縄。ジュゴンは、日本では沖縄島東海岸でしか通念の生息が確認されていない。しかしまだ、種の保存法の指定種にはなっていない。

海洋哺乳類の保全に熱心な米国の自然保護NGO
なお、今回の訪米では政府機関だけでなく、オーシャンコンサーバンシー、ネイチャーコンサーバンシー、セイブマナティークラブなどのNGOとも会い、沖縄のジュゴン保護に協力を求めた。米国のNGOは海洋哺乳類の保護には非常に熱心で、特にオーシャンコンサーバンシーは今回の連邦政府機関との会合を準備してくれた。

帰国後、外務省・環境省・防衛庁などの関係政府機関を訪ね、連邦政府の見解を伝えるとともに、沖縄のジュゴンを日本の種の保存法の指定種とすることや、日米共同調査を行うことを求めた。9月には国会議員との懇談も予定している。

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←辺野古で確認されたジュゴンによる食み跡(2000年2月13日)。撮影・細川太郎ジュゴンの生息には餌場となる海草藻場の保全が不可欠であり、保全対策を立てるための、十分な海草藻場調査が必要となっている。

NACS-Jでは、沖縄のジュゴンの保護を通じて、種の保存法のレベルアップやジュゴンの餌場となる海草藻場の重要性を訴えていきたい。

(吉田正人・NACS-J常務理事)

 

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