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長野オリンピック会場建設問題

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1997.12.01

「妥協案は残念な結果。今こそ根本の見直しを」

滑降競技スタート地点引き上げ決定に対しコメント発表


97年12月1日、長野オリンピックの男子滑降コースのスタート地点について、NAOC(長野五輪組織委員会)検討委員会から最終的なコース設定が公表されました。これまでNAOCによって示されていた案よりさらに標高を上げた地点に変更となり、この問題を重要視していたNACS-Jでは同日、コメントを発表しました。

1997年12月1日

NACS-J保護部長 横山隆一

NAOC検討委員会による

男子滑降競技スタート地点引き上げ決定についてのコメント

 1.決定されたコースは、問題となっていた国立公園第一種特別地域には競技開催に必要な工作物を持ち込まず、通過も必要最小限にとどめたものと説明されている。

スタート地点問題の処理の経過を振り返れば、このような対処策を加えて妥協点を作ることにしかならなかったことは、大変残念な結果と考える。

この競技が、新たな自然の消耗を防ぐため、既存施設での開催を理由に八方尾根に変更された経緯と、競技規定を満足させるためゴール地点一帯を改変させたことをふまえれば、自然植生と湿原のある一帯を避けた位置からの使用が節度ある姿のはずである。今後のコース作りの具体化の中でも、想定した最小化が図れない状態が発生した場合は、ただちに1,680m以下の地点に戻すべきである。

2.このような妥協案の生まれたそもそもの要因は、環境容量の小ささを十分評価せずに行われた尾根最上部のこれまでの施設整備とその運用(リフト搬送力の増強など)を、行政的に認めてきたことにある。第一種地域を事実上ゲレンデとして使用してしまうことを黙認してきたことも含めてその是非を正確に検証し、この機会に同時に改善することを要望する。

それがなされないとすれば、大型の商業的スポーツイベントであるならば重要な自然地域であっても使用できる、という悪しき前例を作るだけとなってしまう。この点について環境庁は、本来の役割を果たすべきである。

1.および2.の指摘点に関しては、今回のスタート地点問題において、本来は社会的説明と説得の機能を発揮させるべきであった自然保護検討会議において再度論議をつくし、これらの課題の点検機構としてはどうか。

3.脆弱な高山性の植生や湿原環境となるところがゲレンデ化されると、その圧迫と枯死のために土壌の流出がおき、自然植生の後退と裸地の拡大につながっていく。 この地域の自然保護問題とは、冬季五輪への使用だけでなく第一種特別地域とされていてもこのようなことが発生していることにある。

植生の後退を完全に防止し、裸地を復元し、ゲレンデ内は適切な緑化を施すことが必要で、これはこの場の利用方法を総合的に管理することでしか解決されな い。11月下旬に地域の協議機関作りが報道されたが、これを早急に成立させ、この問題を解決させていく義務が長野県にはあると考える。

以上

 

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