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秋田・駒ヶ岳イヌワシ生息地の保全

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1993.01.01

秋田県に対し、リゾート計画見直し求める

「秋田県に対し、リゾート計画見直し求める」

イヌワシ調査中間報告提出

=月刊『自然保護』No.367(1993年1月号)より転載=


 

NACS-J保護部は、さる10月26日に日本イヌワシ研究会と共同で行っている「秋田駒ケ岳イヌワシ行動圏調査」の第1回中間報告をまとめ、秋田県政記者クラブで発表すると同時に、秋田県庁に提出してリゾート計画の見直しを再度申し入れた。この報告の内容は、東北地方全域の新聞やテレビによって報道された。

今回の報告は、3年計画の調査の中間発表で、田沢湖地区の秋田県リゾート開発重点整備地区のうち、湖畔地区の約2分の1、田沢湖高原地区の約4分の3がイヌワシの行動圏と重なっている。重点整備地区内のJR東日本のリゾート開発計画地区は、すべて、イヌワシの通年の行動圏の中に位置している。など、8項目からなる。(1992年11月号に概略図を掲載)

これらは、調査途中のデータであるが、イヌワシが繁殖している田沢湖高原を「環境の改革を行うべきでない地域」としたNACS-Jの意見書(1990年8月1日提出)の論拠を、科学的に補強したものとなっている。この報告を受け、秋田県は田沢湖周辺のリゾート開発のありかたの再検討を始めた。

ところで、県境をはさんだ岩手県側にも、十和田八幡平国立公園の範囲ぎりぎりまでスキーのリフトを延ばす約700ヘクタールにおよぶスキー場開発が計画されている。秋田県でのリゾート開発という個々の問題を見直すと同時に、県境を越えて広範囲に自然をとらえ、保護していく視点をもった制度の整備も望まれるところだ。なお今回の記者発表と関係者への申し入れは、10月24・25日の月例の調査終了後に行った。

10月下旬からはイヌワシのつがいが、巣材の補充や繁殖のためのデイスプレー飛行を始める時期にあたり、行動圏の把握のためには欠かせない調査時期でもある。今回はNACS-J保護部の職員を含めた7名の調査員が分散して、早朝から日暮れまでイヌワシの飛行コースと採餌行動を記録した。

春と秋の繁殖期には規模を拡大して調査を行っているが、それ以外の時期にもこうして毎月定例で日本イヌワシ研究会による調査が続けられている。この調査は、野生動物保護基金など会員の皆さんからの寄付を財源にして行っている。調査費は必要経費の3分の1程度におさえられている。これは、調査員の皆さんが交通費なども個人で負担し、無償で協力してくださっているからだ。しかし、3年にわたる長期調査のため、調査費の確保はつねに課題となっている。

 

今後は

  1. 行動圏面積の特定
  2. 行動圏の環境の正確な把握
  3. 狩りをする区域の特定
  4. 来年の繁殖経過の観察と傾向の分析

などを重点課題に調査を続けたいと考えている。

 

残された調査期間中に、十分な調査を行うことができるよう、今後ともぜひご寄付への協力をお願いいたしします。

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