上左:オオヤマサギソウ 上右:フシグロセンノウ 下左:タマゴタケ 下右:8月1日にお祭りのあった赤谷十二神社
今月は、先月設置した土嚢積みの状況確認、モリアオガエルの卵槐調査、水温・水質調査、水位調査、センサーカメラのフィルム交換と、今後のヨシ刈り払い作業の検討を行いました。また、あわせて南ヶ谷湿地の手前にある湧水池の確認(水温調査)もしました。参加者は自然環境モニタリング会議委員の中井さんを含め初日7名、2日目は初日参加できなかったお二人を加え9名で2台の車に分乗して出発。林道はぬかるみ状態で、例年に比べると林道沿いの植物の開花が非常に少ないとのこと、またヤマビルがいたる所で見つかり、数人が被害にあいました。私も両日に渡り首筋に吸い付かれました。天候が不安定な中での調査で、初日は雷が鳴り始めたこともあり撤収開始しましたが、幸いに大雨になったのは調査終了直後でした。
先月設置した土嚢積みの状況は、「期待していた機能をきちんと果たしてくれており、下流部にもう一基設追加して設置する必要はない」と中井さんに確認されました。モリアオガエル卵槐調査(担当:竹村)は、先月の調査結果と比べれば数は大幅に減って入るが、よく見ると最近産み付けたと思われる新鮮な卵槐も含め一つの木にいくつもぶら下がっているのが観察できました。水質調査(担当:前田、和田)は、湧出源に設定された調査地点で水温と水質(PH、伝導度)のデータを記録しました。一部のポイントでは深さによる温度変化も測定しました。
センサーカメラのフィルム交換(担当:高野)は、いつものように3か所に設置してあるセンサーカメラのフィルムの交換作業を行いました。その内の一ヵ所のカメラが前回交換時の作業ミスで(あるいはいたずらという可能性も否定できませんが)レンズカバーが閉じられたまま(つまり電源OFFで撮影できない状態)でした。前回交換は6月の赤谷の日と聞いていますので、約2カ月分のデータが損なわれたことになります。人間の行う作業なので一定のミスは生じてしまうものですが、慣れた作業でも気を抜かずに誤りがないかどうか、しっかりと確認するようにしましょう!
水位調査(担当:中井、貝沼、国安)は、湿原の中に側線に沿って縦横に調査用の直径2cm程のコルゲートパイプが打ち込まれており(地上から約50cm出ている)、その中にセンサーを入れパイプの口から水面までの長さを測定し、水位変化を把握することを目的としています。最終的に16ポイントでデータを記録しましたが、パイプに書かれた番号はD-1からD-25まであったことから最低7ポイントの調査データが取れなかったと想像できます。これは調査ポイントをプロットした地図がなく、設置作業をされた中井さんの記憶を頼りに探したこと、また、パイプには番号が書いてありましたが、どのような法則でつけられたのか不明であったこと、ポイントを探しやすいようにと近くの木の高い所にテープをつけて頂いていましたが、ヨシが高さ3m近くに成長していてヨシ原に入ってしまうと見通しが利かず見えなかったことなどが原因でした。結果的に調査ポイントを探し出すため、湿地帯の中を歩き回らずをえず、湿原を踏み荒らすことにつながりました。また、アシ原以外の湿地には、これまで調査や作業のために何度か歩き回ったことによるルート(踏み分け道)が出来上がっており、これによる影響が出るのではと感じました。早急に対策を検討する必要があると思います。(サポーター国安)
09年の豊凶調査が本格的に始まりました。6月が豊凶調査の体験会になったため、全トラップの設置の終了が7月となり、今月になってデータが揃うことになりました。4月頃からブナの梢を双眼鏡で見てきた全体的な印象としては、高標高のブナについて花が多量に咲いている木を確認できましたが、全く視認することのできない木もあり、個体差が大きいという印象です。コナラ、ミズナラは花の状態を充分に確認できていません。7月(一部)、8月のデータを07年からの比較で紹介します。
高標高のブナの7月の数字が突出しています。9割が1本の対象木に集中していて、ほとんどが虫害の落果です。低標高のブナでも、7月に虫害の落果が出ることは07〜08年に確認できます。しかしこのように大量の落果を確認したのははじめてです。
三国峠を越えた新潟では未だに梅雨明け宣言がなく、雨模様が続いています。この三国でもときどき霧雨の来る中でトラップ内容物の回収をしました。5箇所のトラップを無事回収。高標高ブナの対象木の追加は、本年途中からの追加でなく、来年の当初からの追加にしました。
三国街道三坂線の登り口にあるブナの木は昨年まで対象木にしていましたが、今年は8割の枝で芽吹きが無かったために対象木を変更しました。ブナの立ち枯れは神奈川県の丹沢などでは多くありますが、この赤谷で目の前にすると何故なのか気になります。それ以外にも、今年は葉の虫害がブナ、ミズナラを問わず多いのが気になります。梢を見たときに、葉の隙間から空が見えています。
この時期、山の木の花は少なくなりますが、リョウブ、ノリウツギ、ホツツジの白い花が目立たずに咲いていたのが印象的です。(サポーター川端)
赤谷の森周辺では、1日、夏祭りが集落毎に行なわれていましたが、周囲の主な尾根には早朝から霧雲が垂れ込めて今にも振り出しそうでした。まず、川古で8箇所、そして仏岩で4箇所のトラップを回収し終える寸前、雨が降り出しました。1本のブナ対象木では、樹上に残っている果実は僅かで落下した果実がやはり目立っていました。イヌブナは、全体的に去年に引き続き、ブナよりも結実状況(開花数が少ない?)は悪い様子です。その他の樹種は、果実の成長ステージが進んでいる順番にミズナラ、コナラ、クリとなっています。ミズナラでは樹上で2cm程の若い果実が川古温泉近くの木で確認されましたが、対象木の残渣では、せいぜい1cm程度でした(枝上の果実は確認できず)。コナラでは残渣果実はすべて数ミリ程度(枝上果実は確認できず)で、クリではやっと雄花序が役目を終えて落下し終わる時期に達した、と言った様子でした。川古台地では、美しいタマゴタケが見られました。(地域協議会松井)
赤谷の森におけるチョウの分布状況(草原性・森林性 等)を知ることにより、蝶類相から見た赤谷の森の特徴を把握することを目的にチョウ類の調査をはじめています。
時間:10:30〜13:00/天候:10:30頃から回復/観察場所:手道集落の水田地
参加者:2名(小林・小鮒)と豊凶チームの5名
チョウ類は7種シジミチョウが多く、その他のチョウは7頭観察できた。皆様お疲れ様でしたこれからもご参加お待ちしています。(サポーター小鮒)
8月の赤谷の日は、直前まで降っていた雨の影響でサンプル(ホンドテンの糞)は残念ながら少ないものでした。曇り空の中、金井・星田・長浜の3人で。ムタコ沢、雨見林道の2ルートを調査しました。
ムタコ沢では、橋の欄干の下に獣毛と骨の混じった糞を1つ採取しました。サルナシはいくつか蔓を観察したのですが、実のあるものはありませんでした。しかしヤマブドウは、緑色の若い実が数多く見られ、テンの秋のよい食料になってくれそうでした。雨見林道では残念ながらサンプルは採取できませんでした。
また余談ですが、7月25日に足立先生と赤沢林道を調査した際、テンの餌になるであろう「ウラジロイチゴ」の実を確認し今回の調査で見つからないか探してみたのですが。ムタコ沢、雨見林道では確認できませんでした。(サポーター長浜)
写真/文:竹村秀雄、高野丈、川端自人、松井睦子、小鮒守、前田修、星野理恵子、長浜陽介
ウィンドウを閉じる
AKAYAプロジェクト ホームページ