2009年3月赤谷の日レポート

3月赤谷の日レポート(2009年3月7−8日)

いきもの村のマンサク オオカメノキ
ニホンカモシカ トラックを撮影中 いきもの村のプランター

↑上左:マンサク 上右:オオカメノキの冬芽 下左:ニホンカモシカ 下中:動物の足跡を撮影中 下右:ブナとミズナラの冬芽(いきもの村のプランター)

アニマルトラッキングとテンモニ

 1日目は、小出俣林道を、テンモニ調査&アニマルトラッキング調査に行きました。釣り人らしい踏み跡はありましたが、明確に種類がわかるような足跡はなかなか見つかりません。何かが横切った跡をみなで観察しました(写真00)。雪は深く、長靴の中に雪が入るくらいまで潜ってしまうほどでした。途中、まるでホタル類の幼虫の様な虫が、雪上を歩いているのを発見!皆で観察(写真01)。深い雪をかき分けながら、テンの糞も行きは発見できずでしたが白い雪の世界を堪能できて、それなりに満足感がありました。カツラの前で、みんなで記念撮影(写真04)。帰路は、カラマツ漸伐地付近で、行きにはなかった足跡を発見!追跡してみると、谷の方から来て林道を横切り。漸伐地から斜面の杉林の奥まで続いている…。途中で足跡がパターンがかわり、歩行から走行に変わってました。足あとの正体は、キツネのようでした(写真03)。帰りは、雪が解けたため、テンの糞も発見できました。

00:足跡の観察と記録 01:雪上を歩く幼虫(種は不明) 04:カツラで記念撮影

↑左(00):足跡の観察と記録  中(01):雪上を歩く幼虫(種は不明)  右(04):カツラで記念撮影

↓左(04):行きにはなかったキツネの足跡(小出俣)  中(10):タヌキの足跡(ムタコ)  右(12):リスの足跡(ムタコ)

行きにはなかったキツネの足跡 タヌキの足跡 ニホンリスの足跡

 2日目は、ムタコ沢に、長浜さんリーダーで入りました。ここも雪が多かったですが、ひと晩で固く締まり、そこには色んな足跡が!調査も大変でした。橋の手前では、やや細長いキツネやそれに比べて丸っぽいタヌキ(写真10)、リス(写真12)の足あと、そしてテンの足あとが、沢沿いの森の方に向かっているのが良く見えました。動物たちが夜間、この付近で活発に活動している様子がよくわかりました。それから雪上にたくさんの昆虫、セッケイカワゲラやトビムシ類がみられました。
 橋を渡り、さらに林道を登ると、テンの足あと(写真17)と共に、糞を林道沿いの雪の上に発見!驚いたのは、サルナシを食した糞の表面に、セッケイカワゲラの仲間が4〜5匹も群がり、摂食していたことです(写真20)。冬のテンと昆虫にも、こんなつながりがあったんですね!さらに2つテン糞も見つけました。こちらはツルウメモドキのようでした。またテンが林道から脇の斜面の高いところに80cmほどもジャンプしている跡も発見!あらためて、樹上も含めて森の幅広い場所を活動するテンの行動能力を思わされました。この様なことも、雪のある季節しかできない楽しみですね!

17:ホンドテンの足跡 16:ホンドテンの80cmジャンプ
サンプリング中

20:サルナシの糞を食べるセッケイカワゲラの仲間

↑左(17)ホンドテンの足跡  中(16)ホンドテンの80cmジャンプ  右下(20)サルナシのフンに群がるセッケイカワゲラの仲間

 このほか、ネズミ(歩幅からアカネズミと思われる)の可愛い足跡が、サワグルミの根元にたくさんついていたり、もっと小さな「しっぽ」の跡が全くない足跡が木の根元から出てきているのも見られました、こちらは推測ですが、ヒミズでは?ということに。(ヒミズも雪上で活動するらしいですね。) とくに多かったのはタヌキで、よたよたと色んなところを歩きまわり、斜面を登ってみては降りたり、その様子が目に浮かぶようでした。ただし、帰りに子犬の散歩の足あとをリアルタイムで見たけど、良く似ているので要注意!!ということになりました。(サポーター平井・鈴木)


牧場跡地(うだっぱら)の散策

 小鮒さん、高野さん、前田さん、小川さん、竹村の5名は、小鮒さんの提案で、牧場跡地(うだっぱら)周辺で動物の足跡調査をするになった。出発早々「まんてんの湯」下の国道17号線脇斜面にカモシカを発見。次に河童広場に寄り道。河岸段丘の絶壁の大きさと小石がカラカラと絶え間なく落下する様子にびっくり。また河原ではカワガラス、ミソサザイ、上空にはハイタカ等が現れ、ネコヤナギも開花していた。牧場跡地には雪はほとんど無く、川古に向かう旧道を少し行くと趣のある松林。川側に移動すると素晴らしい展望が開けたが、近くに5m四方、深さ2mくらいの大きな窪み。河童広場から見た絶壁を思い出し、急いで山側に移動。
 旧道を更に上流側にいくと雪が斜面を覆ってき、カモシカ、ウサギ、テン等の足跡が多数。更にゆくとヤマナシの実が道路脇に多数。旧道は急な山肌に取り付けられて、濡れた落ち葉で滑りやすく、足を踏み外すと危険なため、途中で引き返すこととした。牧場中腹の東屋で昼食をとろうと登っていくと牧場施設跡にカモシカが出現。写真を撮ろうとすると、ゆっくり下のほうに移動したので、後を追って出発点まで戻ると、上空でクマタカが旋回。地上のカモシカと上空のクマタカを同時に見れる幸せなひと時間となった。昼食後、老人ホーム横の林の中に先ほどのカモシカを発見。道路から20〜30mくらいの場所を去ろうとしないため、全員でカモシカの撮影会。カモシカに感謝しながらその場を離れ、昼食場所に戻ろうとするとこずえにウソを発見。予期せぬものが色々見れ、皆満足して生き物村に帰った。(サポーター竹村)

ヤマナシ 上空に現れたクマタカ ネコヤナギ

南ヶ谷湿地

 今年は雪が少ないため、南ヶ谷湿地もかなり雪が少なくなっているのではないか?ということで、今年はじめて南ヶ谷湿地へ向かいました。ところが、というか、当然ながら、林道途中からしっかりと積雪があり、南ヶ谷湿地もご覧のような雪原状態で、まだ40〜50cmの積雪がありました。足跡は、ヤマドリや、カモシカや、ノウサギが観察されました。
 南ヶ谷湿地は、雪に覆われていて、雪に足を取られ、寒さで足の感覚がなくなる中、苦労して到着。雪に覆われていたことで、今まで気づかなかった大きな発見が!それは、”今まで湿地は平らだと思っていたのが、間違いだったということ”。湿地の中央部に緩い傾斜があり、湿地は上部(ヨシが優占)の湿地と下部(スゲ・ミズゴケが優占)の湿地に分かれ、それは植生の違いとも一致していることがわかりました。1年通って、今更ですが、重要な発見でした。この上部と下部の違いは、どのようにしてできたのでしょうか?私は、30年前の水源林を皆伐したために、土砂が流れ込み、その結果、水源側の上部の湿地が高くなったという仮説を考えています。この仮説は、湿地の断面を調べることによって検証することができ、湿地がどのようにできてきたのか、その謎の一端を見せてくれるはずです。4月には、この謎に挑戦する調査を実施したいと思っています。
 今月はまだ、真冬の様子の南ヶ谷ですが、来月にはクロサンショウウオの産卵も見られるのではないかと思います。(NACS-J藤田)

南ヶ谷湿地 南ヶ谷湿地 南ヶ谷湿地

写真/文:鈴木誠樹、平井希一、竹村秀雄、茅野恒秀、藤田卓、出島誠一

ウィンドウを閉じる
AKAYAプロジェクト ホームページ


Copyright(c) 2005- Nature Conservation Society of Japan. All rights reserved.