↑(左)たくみ小屋は冬に備えて屋根の補修中です。 (右)お昼寝中のムササビを起してしまいました。カワイイです。
10月の赤谷の日に引き続き、小出俣林道にて第2回目のきのこ調査を行いました。調査箇所は前回と同様に、(1)スギ林、 (2)カラマツ林、 (3)ブナ・ミズナラの二次林、 (4)渓畔林 の4箇所。たった1ヶ月の間に、山の様子はすっかり晩秋になりました。果たして出てくるきのこ達がどのように変化しているのか?前回の調査で、きのこ目が熟練してきた隊員を中心に、”ぐんま野生きのこ同好会”の中林先生を講師に迎え、調査スタートです。
ここで発生が確認されたきのこは、わずか6種でした。うち外生菌根菌0種、10月から引き続き発生が確認できたのは1種でした。前回の調査であれだけ林床を賑わせていたスギヒラタケは全くいなくなり、スギエダタケが僅かに顔を見せるだけ。何とも寂しいきのこ事情です。
発生が確認されたのは全8種、うち外生菌根菌は3種、10月から引き続き発生が確認できたのは0種でした。10月に夜のきのこ汁になってくれた、シロヌメリイグチとハナイグチはすっかり消えて、代わりにカラマツ林に特異に発生するキヌメリガサが発生していました。レモン色できれいなきのこ、しかも食べられます。あんまり量はありませんでしたが・・・
↑(左)キヌメリガサ、 (中)調査風景、 (右)キノコを愛でる隊長
(1)、(2)の人工林は前回もあまりきのこが発生していませんでしたが、今回はそれに輪をかけてきのこの発生が少なくなっていました。やはりきのこのピーク期はすぎてしまっていたようです。
発生が確認されたのは全17種。うち外生菌根菌0種、10月に引き続き発生が確認できたもの5種でした。10月に23種も確認された外生菌根菌がきれーにいなくなっていました。寂しい・・・。代わりに、ムキタケ、エノキタケ、ナメコといった、お馴染みの食用菌が発見され、隊員をわかせてくれます。特に野生のエノキタケは、市販のひょろひょろとしたなまっちろいエノキタケとは似ても似つかぬ代物です。傘も柄も茶褐色で、がっしりとしています。市販されている白いエノキタケは、もやしと同じ原理で、光を照射しないで栽培しているものです。ムキタケは別名「ノドヤキ」とも呼ばれています。これは、きのこ汁に入った熱々のムキタケを口に含むと、その独特のぬめりと形のため、冷めないうちにつるり、とのどの奥まで入って火傷することから付けられた名前です。
またこの場所では、小林さんがツキヨタケの大群生を発見しました。ツキヨタケは日本で一番中毒例の多いきのこです。特に発生直後がシイタケやムキタケと似るため、毎年中毒が報告されています。きのこを裂いた時に根もとに黒いシミがあるのがツキヨタケと、見分ける方法もあるのですが、シミのないツキヨタケもあるそうです。その名の通り、暗闇の中でヒダと胞子が黄白色に光ります。いきもの村に持って帰り、夜の発行きのこ観察会も行いました。
↑(左)ムキタケ、 (中)ツキヨタケ:暗闇ではしっかり光っていました (右)2次林の風景
発生が確認されたのは全25種。うち外生菌根菌は0種、10月に引き続き発生が確認できたものは7種でした。前回ここでは、50種のきのこが確認されましたが、数は圧倒的に減りました。
↓(左)翌日朝から行った同定作業
↑(上左)ホコリタケ、(上右)ニガクリタケ、(下左)ヒラフスベ、(下右)カワラタケとセミの抜け殻
2ヶ月行った調査の結果、発生が確認されたきのこは全部で143種(うち名前が付いたもの111種)になりました。菌類の調査としてはまだまだ駆け出しですが、赤谷で行った初のきのこ調査データとして、非常に貴重なものになると思っています。隊員の皆様、本当にお疲れ様でした。講師の中林さんご協力ありがとうございます。(目黒)
2日目は小出俣林道の千曲平にて清掃活動を行いました。1日目のきのこ調査In渓畔林で、あまりのゴミの多さに「環境教育のエリアでこれじゃイカン!」と思い立った隊員による、即席の部隊です。
参加人数が多かった為、集めたゴミは隊員が持ち帰って、各自ゴミの日に出せれば・・・と思っていたのですが、実際現場で作業を開始すると、出るわでるわ・・・。特に多かったのが一升瓶。割れていないものだけでも35本、割れているものゴミ袋6袋分、他にもトタンやバイクの残骸、炊飯釜何てのもありました。とても人が持って帰られる量ではないので、とりあえず林道の脇に集めて、後日対策を考えることにしました。
↑(左)集めたゴミ・・・大量です。 (右)清掃部隊とセンサーカメラ隊
1日目の夜にも、ゴミ問題を議論しましたが、赤谷の日は、サポーターが自然を観察する方法を学ぶ場であると同時に、山に入るときの姿勢を学ぶ場でもあります。今後サポーターだけでなく、沢山の人が赤谷の森に入ってくることになった時、観光地化されてしまった他の山々のように、お客様気分で後のことを顧みない人に、赤谷の森が汚されないよう、私たちサポーターは、見本になる行動を取らなくてはならないと、気を引き締めた赤谷の日でした。(目黒)
AKAYAプロジェクトのエリア内にある沢の水温を計測するため、合計10箇所にデータロガーを設置しています。ロガーは、沢の中に設置しておけば、一定のインターバルで水温を自動的に計測して記録してくれる便利なモノです。7月赤谷の日に設置し、データの回収を何度かしているのですが、まだ一度もデータが回収できていな場所があります。それは、赤谷川本流の上流部です。赤谷川の水量に負けて流されてしまい、既に2つのロガーが行方不明となってしまいました。(赤谷湖に浮いているのを見かけた方はご連絡下さい!)
そして、3度目の正直で2週間程前に今度は2箇所に設置したので、そのデータを回収に向かうことにしました。
↑(左)赤谷川の水温はいきもの村とは比べ物にならないぐらい冷たい。 (右)データの回収は赤外線によって行われ、数秒間接続すれば終わります。
赤谷林道では、テン糞のサンプリングも行いました。
奥山には雪が積もり、赤谷林道の終点の辺りは秋というより、すっかり冬の様相です。雪が積もりはじめれば次にデータを回収できるのは春になってしまいます。それまで流されずに水温を記録し続けてくれることを祈りましょう。(出島)
今回もサンプリングルートを2日間で調査いたしました。初日は赤谷手前ルート、小出俣ルート、合瀬ルート、ムタコルートを調査。今回はこの班に新しい人の参加が多かったので、天候の関係で赤谷奥ルートを2日目に回した事もあり、確実にサンプリングが出来るムタコのルートにはベテランのメンバーを含めて5人体制で、トレーニングを兼ねて入って頂きました。結果は赤谷手前ルート、小出俣ルート、合瀬ルートが各1サンプルと今までとほぼ変わらない状況。ムタコルートは33サンプルと先月に続き多くサンプリング出来ました。
2日目は赤谷奥ルートはデータロガー班にお願いをして、ムタコを再調査。これは先月足立先生が行ったリセット後の個体識別につながる調査です。朝のミィーティングで小出俣沢のゴミ搬出に人手がいる事もあり、再調査は私(青木)だけでもと思ったのですが、金井サポーター・坂西サポーターがご一緒してくれる事になり、ムタコに入りました。ムタコに入ってみると、前日の調査では路面が乾いていなかったため、みつけられなかったサンプルが多く、終わってみたら49サンプル。調査票・サンプル袋も足りなくなる状況で、同行して頂いたお二人には感謝しております。
リセット後のサンプルとしては、あやしいものを含めて3サンプル。あやしいものははじくとして、橋の欄干下のものと、橋手前の石の上のものは確実に新しいサンプルで、糞の径も明らかに違う点からして、2個体はいるものと考えて良いのではないでしょうか。劇的に変化をみせたムタコルートから目が離せません。データロガー班にお願いした赤谷奥ルートは1サンプルでした。(青木)
10月のコウモリ調査では、調査時間帯が悪かったのか、いきもの村でコウモリの音声を確認することは出来ませんでした。今回は、いきもの村と川古温泉で行いました。いきもの村では、日没間際の17:00から17:30まで、県道上部の水場周辺と炭窯小屋周辺のコナラ林で調査を行いました。天候:晴れ・気温6℃でしたが、コウモリの音声を確認することは出来ませんでした。川古温泉では、17:50から16:20まで橋の上を中心に調査を行いました。天候:晴れ・気温7℃でしたが、こちらでもコウモリの音声を確認することは出来ませんでした。その後、いきもの村でフクロウ調査隊と合同で20:00から20:45まで県道上部と炭窯小屋でリベンジを図りましたが、音声の確認は出来ませんでした。。。。 木枯らし1号の影響で気温に比べ体感温度は低く感じられましたので、気温が影響してると思われます。
↑(左)コキクガシラコウモリと思われるコウモリ:いきもの村で撮影、 (右)テングコウモリ属と思われるコウモリ:小出俣の自然林再生試験地で撮影
話は変わりますが、フクロウ調査隊と合同で行った調査の途中、県道上部でタヌキを見ることが出来ました。いきもの村は、何かしら偶然な出会いがあって楽しい場所ですね。(鈴木)
10月の赤谷の日に設置した2台のカメラと11月5−6日に行われた自然観察指導員のステップアップ研修『AKAYAの森の研修会・晩秋』で設置した3台のカメラのメンテナンスを行いました。
赤谷の日に設置した2台のうちカツラステーション下の溪畔林のフィルムを回収しました。前日の雨でヌタ場上流部からは水が湧き出していました。
また、『AKAYAの森研修会・晩秋』で設置した3台のうち1本のフィルムを回収。ブナ・ミズナラ2次林内のホオノキの古いツキノワグマの爪痕周辺に設置されたカメラは、フィルムカウントが2枚でしたので未回収としました。溪畔林下流のテンの糞周辺に設置されたカメラは、なぜか見つけることが出来ません。新しいテンの糞も幾つかあり、その周辺を探しましたがありません。「カツラステーションごみ回収隊」と合流後、新たな情報をもとに再捜索しましたが結局発見できませんでした。後日、再捜索をすることとしました。(鈴木)
↑小出俣のセンサーカメラの様子
(左)ぬいぐるみのように見えますがノウサギです。 (中)ニホンリス。 (右)この尾っぽは見覚えありですよね!小出俣にもムササビがいるようです。
やりながら考える、木の実の豊凶調査班です。シードトラップの形状や、トラップの設置場所の選び方などが、前回からの課題ですが、まだ解は見つかりません。とりあえず、前回設置したシードトラップを回収しました。トラップがどうなているか、それなりに興味津々の回収作業です。初めに、川古温泉の段丘状の林のトラップに向かいました。段丘林に上がると、早速No.1のトラップを見つけました。ネットの中を見てみると、落ち葉ばかりが見えます。ドングリは・・。
↑紅葉の中、設置した網を回収
川古の段丘林には、5つのトラップを設置したつもりでいましたが、4つしか見つかりません。続けて小出俣林道のトラップが、No.5だったので、どうも勘違いのようです。いきもの村周辺をNo.7から始めたので、No.6は欠番になってしまいました。何故、間違えたのか。首をひねるばかりです。それはともかく、小出俣林道は紅葉が真っ盛りでした。
最後にいきもの村(下段)周辺のトラップを回収しました。いきもの村(下段)周辺は、すべてコナラです。若いコナラ林に設置したトラップが、倒れていました。原因は分かりませんが、付近にはサルの糞が大量に落ちていました。。。
↑(左)サルの糞、 (中)不作のコナラ、 (右)豊作のブナ
全てのトラップを回収後、ブルーシートを広げてトラップの内容確認をしました。結果はなんと、コナラ13個(ほとんど虫食い)、ブナ60個と言う顕著なものでした。トラップの数はコナラ9個、ブナ1個です。この秋は不作のコナラと、豊作のブナが対照的ですね。
とりあえず三角形のトラップでも役に立つことは分かりました。が、毎年の設置ごとに、形状が変わる可能性があるので、割り竹を使って丸い輪を作ることを、冬の夜なべ仕事にします。皆さまお疲れさまでした。(川端)
さて、来月はいよいよ炭窯に火を入れたいと思います。一度火を入れると4日間程度24時間体制で火の番をする必要があり、なかなか大変な作業ですが、炭窯の前でゆっくり一年を振り返るのもなかなか良いかもしれません。
早いもので2005年最後の赤谷の日となります。来年度の相談もしたいと思います。12月もよろしくお願いします。
↓(左)火入れを待つ炭窯、 (右)残った人で集合写真(早く帰った方スイマセン)
写真/文:青木邦夫、川端自人、小林一民、坂西成人、汐先健悟、島内厚実、鈴木誠樹、茅野恒秀、出島誠一、萩原正朗、目黒美紗子
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