人工林を自然林に復元するための大規模な伐採実験が始まりました

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自然保護協会の藤田です。
ついに!スギ人工林を自然林に復元するための大規模な伐採実験が8月16日から始まりました。
デカイでしょ。機械の大きさからもその規模の大きさがよくわかります。

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20m×220mの伐採実験区(8/30 藤代さん撮影)


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40m×220mの伐採区の様子(8/30 藤代さん撮影)。


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伐採作業の様子(8/22)。



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伐採前のスギ人工林の様子(7/17日 自然林復元100年調査会の様子)


この場所は伐採前には、一面のスギ人工林でしたが、生物多様性復元のために、スギを伐採し、植栽に頼らず、自然の回復力を生かした自然林復元を赤谷プロジェクトでは進めています。
ここは、本来はブナやミズナラが優占し、ツキノワグマなどの多様な生き物たちが暮らす豊かな森だっと考えられ、このような自然生態系に戻すことを目標としています。
http://www.nacsj.or.jp/katsudo/akaya/2011/04/5-2.html

実際にこの試験地内の自然林には、ツキノワグマが出現していることがセンサーカメラ調査でわかっています(人工林内には出現しませんでした)。

しかし、自然の回復力を生かして人工林を自然林に復元すると言っても、日本ではそのための方法は確立していません。


そこで、プロジェクトでは、実験を行いながら、自然林復元の方法を作り、日本全国で自然林復元へその手法を提供することを目指しています。
今までの知見から、人工林を自然林に復元する際に、大きな障害になるのは、光条件と種子供給源となる自然林(母樹)までの距離だと考えられています。
今回の実験では、これら2つの要因がどの程度自然林復元に影響するのかを調べています。

また、植物だけでなく、ほ乳類、鳥類、昆虫を指標にして、伐採後に生態系がどのように復元されるのかを、伐採前、伐採後に追跡調査を行う予定です。
伐採前の事前調査では、スギ人工林と比較して、自然林にのみ出現する種として、ほ乳類ではツキノワグマ、鳥類ではオオルリ、キビタキなどのフライ キャッチャー型や、アカゲラなどのキツツキ類などがわかっています。また、ブナやミズナラの実生(稚樹)は、自然林のすぐ近くに偏って出現していることが わかっています。

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試験地内(自然林)のセンサーカメラに写ったツキノワグマ(6/15)


この調査は、専門家が中心になって行っていますが、赤谷サポーターやボランティア、学生さんと共に進めています。今まで、全部で100人以上の人に参加してもらったと思います。皆さん、本当にお疲れさまでした。これからも、この森の100年後の姿を、多くの方々と見守っていきます。

集合写真.JPG
7/16日 自然林復元100年調査会に参加したボランティアの方々
自然林復元100年モニタリング調査会  も見てみて下さい。


伐採後に、どのくらいの時間で、本来あったブナやミズナラの自然林に戻っていくのか?楽しみにしていて下さい。

試験地のず2.jpg
自然林復元試験地 実験区配置図


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