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<イヌワシ>絶滅危惧種を守る 一覧へ戻る

2018.03.23(2019.07.08 更新)

日本の伝統文化のなかに生きる動物たち

イベント報告報告

専門度:専門度3

テーマ:生息環境創出絶滅危惧種伝統文化

3月18日、多摩動物公園でワークショップとミニシンポジウム「日本の伝統文化のなかに生きる動物たち」を開催しました。
今回のイベントは自然の恵みと文化のつながり、生物文化多様性について、親子三世代で楽しみながら、体験や学びの場をつくろうと、日本自然保護協会、多摩動物公園、伝統芸能の道具ラボのみなさんと一緒に企画してきたものです。


まず、岩手と東京の鹿踊りグループが、勇壮な「鹿踊り」のパフォーマンスと鹿頭づくりのワークショップを実施。子どもたちは動物園が準備した羽や木の実、笹などを使って、思い思いの鹿頭をつくり、鹿踊りを体験しました。

 

 

その後、動物園からシカの角のひみつやシカの暮らしを子どもたちにお話いただきました。日本自然保護協会からは人が乱してきてしまった生態系の中で、今、シカたちが置かれている現状や、人の手による管理が必要になっていることを親世代の方々にお伝えしました。

 

 

午後のミニシンポジウムは、前半は動物園の中島亜美さんによるニホンイヌワシの生態や羽の不思議、宝生流能楽師の東川光夫さんによる、能の道具、天狗の羽団扇の講演。後半のパネルディスカッションでは、動物園の永井清園長、伝統芸能の道具ラボの田村民子さん、東京鹿踊り代表の小岩秀太郎さんをパネリストにお迎えし、伝統芸能に見る日本人の動物観や、生きもの由来の道具の継承について考えました。

 

 

 

伝統芸能の中には、いにしえから伝わる道具の中で、動植物由来のものが数多く使われてきました。今では、希少種となり入手が困難になってきているものもあり、代替の材料で作らざるを得ないものもあります。能の中で、天狗が人知の及ばぬ力で風を起こすときに使われる「羽団扇」は、百年以上前にイヌワシ、クマタカなどの猛禽類の尾羽でつくられたものが現在まで受け継がれてきています。

 

 

山の中で空を舞う天狗は人々の山への畏怖や山岳信仰ともつながる存在で、日本の森の生態系の頂点に位置するワシやタカたちの姿が、天狗の持つ力につながっていること。鹿踊りが祖先や精霊の供養の舞として、岩手や宮城で猟師の多く暮らす村で鹿の弔いや、自然の恵みへの感謝の祈りをささげる踊りとして継承されてきたこと。こうした伝統芸能に用いられる道具の素材は、日本人がさまざまな土地の風土にあわせて使い分けてきた知恵や技術が継承されてきたが、絶滅危惧となった生きものたちの素材は、やむなく人工物の代替なども始まっていることなどが、パネラーの皆さまから語られました。

そして参加者の皆さんにも自然の危機的な状況に目を向け、周りの方々にも伝えていただくことをお願いし、継承されてきた伝統芸能の中でも自然への畏敬の念や恵みへの感謝の気持ちを人々に伝え、自然を守ることにもぜひ貢献ご協力いただきたい、と結びました。

 

 

伝統芸能の皆さま方が語る自然観には、当たり前のように長年伝え続けられてきた自然への畏敬の念や一体感が感じられ、わたしたちにとってもとても貴重な体験となりました。
わたしたちの暮らしや文化の支えとなる豊かで美しい自然を受け継ぐこと、これからも広める活動を続けていきます。どうぞ、ご支援ください。

 

担当者から一言

事務局長 鶴田由美子

たくさんの方々にご来場いただき、ありがとうございました。
これからも世代を超えて受け継ぐ伝統文化と自然保護の接点でいろんなコラボレーションを企画します。ぜひご参加ください!

 

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