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2017.11.01(2017.10.27 更新)

ウミガメが産卵しやすい砂浜を取り戻す

調査報告

専門度:専門度4

テーマ:生息環境創出生息環境保全モニタリング防潮堤・護岸海の保全

フィールド:海辺

日本自然保護協会は愛知県渥美半島で活動しているNPO法人表浜ネットワークとアカウミガメの保全活動に取り組んでいます。

アカウミガメは、IUCNの絶滅危惧種にリストアップされています。日本の砂浜は、太平洋のアカウミガメにとって重要な産卵地ですが、護岸工事や道路建設によって減少・縮小しています。

表浜ネットワークは、アカウミガメ(以下ウミガメ)の産卵期間中、約10㎞の海岸線を調査してきました。ウミガメの上陸跡を見つけると、その痕跡に沿って、GPSデータロガー(位置情報を記録する機器)を持って歩き、ウミガメの上陸後の移動や産卵状況を記録してきたのです。2009年に護岸ブロックの一部(約1㎞)を陸側に移動するセットバックが行われたことで、ウミガメの行動に大きな改善が見られたことが、この調査の結果から分かりました。

表浜ネットワークが記録を取ったものの解析が追い付いていなかったデータがありました。そこで、日本自然保護協会は今年、皆様からいただいたご寄付により、データを解析し護岸を改善することで産卵の可能性が増える地点を検討しました。

145地点の上陸跡のうち、護岸のある場所では上陸しても未産卵の割合が高くなっていました。産卵に適した場所を探しているうちに産卵できずに海に戻っていることなどが考えられます。今後は、上陸件数の多いものの未産卵の割合が高い場所について、ウミガメが産卵しやすい砂浜に改善するよう、堆砂垣を設置して砂を周囲に溜めることで砂浜の段差を少なくしたり、護岸のセットバックを働きかけたいと考えています。

 

▼写真:護岸のある砂浜(上)と、護岸のない砂浜(下)のウミガメの上陸跡。護岸のある砂浜は行動が大きく変わっている。(データ・表浜ネットワーク)

 

 

日本三大砂丘の中田島砂丘に巨大防潮堤

広い砂浜には減災機能があると考えられているにもかかわらず、各地で防潮堤建設のために砂浜が失われつつあります。

日本自然保護協会は、6月に静岡県の中田島砂丘の保全を求める要望書を静岡県知事・浜松市長に出しました。中田島砂丘は、遠州灘の東側にある、鳥取砂丘、九十九里浜とならぶ日本三大砂丘ですが、砂丘の中央を防潮堤が貫く工事が始まっています。

要望書では、砂丘の減災機能の見直し、市民との合意形成、セットバック工法の導入などを求めました。防潮堤や護岸に囲まれた海辺ではなく、砂だけの砂浜ではなく、ウミガメをはじめ多くの生きものが暮らす砂浜を取り戻していきたいと考えています。

 

中田島砂丘の中央部分で建設が進む防潮堤。

 

担当者から一言

自然保護部 志村智子
砂浜なんて砂しかない! と思われがちですが、本来の砂浜は命あふれる魅力的な場所なんです。

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