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2017.08.30(2017.09.01 更新)

ドキュメンタリーフィルム『ZAN』監督インタビュー

読み物

専門度:専門度1

テーマ:絶滅危惧種

フィールド:辺野古・大浦湾

  『ZAN~ジュゴンが姿を見せるとき~』の監督に、特別インタビューをさせていただきました!

※会報『自然保護』9・10月号より転載


ジュゴンのすむ辺野古・大浦湾の豊かな自然環境と、そこで起きていることを多くの人に伝えたい。
NACS-Jのその思いに共感し『ZAN』制作を決めた、イメージミル代表で作品の監督、リック・グレハンさんに制作への思いを伺います。

(取材:増沢有葉/NACS-J編集室)

RickGrehan監督。北アイルランド出身。

14歳から空手を習い、16歳からアイルランドに生えるマツを使い独学で盆栽に取り組むなど「前世は日本人」と話すほどの日本好き。

イメージミル代表。

――今回の作品は、辺野古・大浦湾の海中や干潟など、多様な自然環境の美しい映像が印象でした。

撮影で初めて大浦湾に潜りましたが、海の中の美しさは想像以上でした。大きなアオサンゴ群集は海中の宮殿のようで、地球上の景色とは思えないほどです。実は、撮影時は海が荒れて透明度が低く、撮影は難航しました。それでも、海中の様子は素晴らしかった。もう一度、撮影ではなくプライベートでゆっくりと潜りたいです。

海だけではなく河口のマングローブ林も、山と海をつなぐ重要な存在だと感じました。サンゴ礁はもちろん、砂地や泥地などさまざまな環境に多様な生きものが生息し、自然環境は複雑に組み合わさって成り立っています。取材の中で聞いた、「どんな環境にも価値がある」ということが、私自身も印象的でした。

――監督は昔からジュゴンが好きだったのですか?

実は、撮影を始めるまでジュゴンのことは詳しく知りませんでした。取材で地元の方の話や、沖縄の伝承、神様の使いと言われる不思議な動物であることを聞くうちに愛情や親近感が湧き、その魅力に取り憑かれていったんです。

日本で唯一ジュゴンを飼育している鳥羽水族館では、間近でゆっくりジュゴンを見ることができました。見ていて強く思ったのは、「残念だな」ということ。ジュゴンはとても優しく穏やかで、か弱い生きものに見えました。人間が保護するかどうかの選択に、彼らの未来がかかっています。フィルムの最後のシーンを鳥羽水族館のカットにしたのは、将来、ここでしかジュゴンが見られない状況にならないように、という願いを込めました。ジュゴンの未来は、私たちの選択次第だということを伝えたいと思います。

 

――なぜ辺野古を舞台に作品を制作したのでしょうか?

私はイギリスとの紛争問題を抱える北アイルランド出身で、市民運動などに積極的にかかわる家族のもとで育ちました。私自身も、大学卒業後、広告代理店で働きながらアフリカで野生動物保護やエイズ撲滅に関するキャンペーン活動に携わってきました。10年前に来日し、ニュースで米軍基地建設で日本政府などからの圧力を受ける辺野古のことを知ってからは、イギリスからの圧力があった自分の故郷との類似点を感じていました。

4年前に企業広告の制作会社イメージミルを設立し、企業のブランディングや事業を通じて「持続可能性」や「エシカル※」といった考え方を社会に広めようと取り組んできました。売り上げの1%を環境保全活動などに寄付する「1% for the Planet」の取り組みにも参加していて、NACS‐Jスタッフの方から、辺野古ではジュゴンという希少な動物の餌場を埋め立てる計画であることなどを聞きました。その話を聞き、映像作品をつくり、多くの人にこの問題を伝えたいという情熱が湧いてきたのです。

 

――誰に見てほしいですか?

ごく一般の、「普通」の人たちに見てもらいたくて、今回の作品はあまり専門的な解説は入れず、シンプルにまとめました。専門家の方には物足りないかもしれませんが、社会に変化を起こすためには、どんな人にも分かるようにして、たくさんの人に伝える必要があると思います。未来をつくる若い人たちにも見てもらいたいですね。

沖縄県名護市での最初の試写会は本当に緊張しました。地元住民の方や、自分の時間を費やし活動してきた方々を前に、私の解釈や表現が間違っていないか、シンプルな内容に満足してもらえるか、など不安だらけ。でも試写会は好評で、涙を流して「辺野古の海をこんなに美しい形で見れてよかった」と言ってくれた地元住民の方もいました。大学関係者からは「学生向けの教材として使いたい」という声もあり、本当によかったです。
それから、アメリカなど海外のマーケットへの展開も重要視しています。この作品は英語の字幕もつけています。この問題を海外にもっと発信して、海外の世論を高めることが、日本で保護活動を盛り上げる力になると思うのです。日本でも世界でも、映画館はもちろん、イベントスペースや学校、カフェなどいろいろな場所で、たくさんの人に見て、知って、行動していただきたいと思います。

『ZAN ジュゴンが姿を見せるとき』特別解説ページへ


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★ 辺野古・大浦湾に行ってみる

辺野古・大浦湾のネイチャーツアーに参加できます。シーカヤックやマングローブ観察、グラスボート、ダイビングなどさまざまなプログラムがあり、個人旅行はもちろん、修学旅行や研修旅行にも対応可能です。お問い合わせは「ジュゴンの里」まで。
担当:ジュゴンの里・東恩納琢磨  TEL/FAX:0980-55-8587

★ 署名に参加する ジュゴンを沖縄の「県獣」にして守ろう!(別サイトに移動します)

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担当:NACS-J・志村智子  TEL:03-3553-4103 E-mail:nature@nacsj.or.jp

 

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