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2017.08.17(2017.08.17 更新)

ニホンカワウソの保護の歴史~NACS-J会報『自然保護』から~

解説

専門度:専門度1

上の写真は、1965年、愛媛県御荘にて撮影されたもの。(撮影:田中光常)

テーマ:生息環境保全絶滅危惧種

 

広報会員連携室の道家です。

2017年8月17日、琉球大学が「カワウソの動画」を発表しました。もしこれが「ニホンカワウソ」であるなら世紀の大発見となるでしょう。今後の調査が待たれますね!


ニホンカワウソは、2012年、環境省が取りまとめる「絶滅のおそれのある野生生物のレッドリスト」において、絶滅危惧種から「絶滅種」に評価が変更されました。愛媛県レッドリストでは、今なお「絶滅危惧種」に分類されているのは、その生存を願ってやまない地域の想いが根強いからだと思われます。

ニホンカワウソは河川や湖沼などに棲み、河童のモデルになったといわれるほど、かつての日本では身近な生きものでした。しかし、毛皮目的の過剰な捕獲や、河川の護岸工事などによる生息地の減少、餌資源の減少などにより個体数が激減し、確かな生息情報は、1979年の高知県での目撃例が最後となっていました。

1960年に第1号が発行され、50年以上の歴史を持つ、日本自然保護協会の会報『自然保護』でも、ニホンカワウソはたびたび登場してきました。

 

『自然保護』No.29(1963年12月号)では、ニホンカワウソの個体数減少、生息地の劣化を懸念して、カワウソ保護の問題を論じた森川国康(当時・愛媛大学文理学部)の文章を紹介しています。

この中で印象的なのが「カワウソという名前がついているが、現在本県(愛媛県)で発見されるこの動物は、(中略)みな海域から発見され、(中略)開拓されてきた河川では、生息の場を失い人跡のおよびがたい海岸避地にかろうじて生き残っているということを示していると思われる」という一文です。

この文章では、その減少の様子を目の当たりにし、自然保護区の設定や天然記念物指定、動物園での保護増殖などを提案されていました。

 

飼育下では、1969年(昭和44年)に、愛媛県立道後動物園(現・とべ動物園の前身)にいた最後の1頭「マツ」が死亡し、自然界では、1979年の目撃例を最後に見られなくなりました。会報「自然保護」1987年11月号では、イラストでニホンカワウソを紹介しています。

 

1991年9月発行の会報『自然保護』No.352では、1965年に撮影できたという田中光常さんの写真と共に、小原秀雄顧問(当時理事長)の「ニホンカワウソ~種が消えていくことの意味」という文章を掲載しました。ニホンカワウソは、ある生き物の種が絶滅するというのはどういうことかを人々に考えさせる力を持った生きものであるのかもしれません。

その後、1992年6月発行のNo.361では、当時国会で議論されていた絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律について「わずかな生存の可能性を残す限り、最後まで手を尽くすのが同法の趣旨だと信じたい」と生息調査の打ち切りに懸念を示すニホンカワウソ友の会の田辺淳一郎さんの声を紹介しています。

 

1994年11月発行のNo.390では、道後動物園のニホンカワウソに魅了された大西伝一郎(当時愛媛県新居浜市立中萩小学校校長)のエッセイ「カワウソは生きている」(大西さんは同名の写真絵本も出版)を紹介しました。

以降は、ニホンカワウソは会報『自然保護』からも姿を消し、2012年の絶滅種指定に合わせて、ウェブサイトで紹介されたくらいでした。

 

今後の調査が非常に楽しみです。

会報『自然保護』にもニホンカワウソが復活する日も近いかもしれません

(広報会員連携室 道家)

 

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SAVE THE ISLAND BEAR 四国のツキノワグマを救え!

ニホンカワウソの最後の確かな生息情報があったのは四国。その四国のツキノワグマは、20年後には60%の確率で絶滅してしまうかもしれないと言われています。日本自然保護協会では、四国の関係者とともに「四国ツキノワグマ保護プログラムSAVE THE ISLAND BEAR」を準備しています。活動に必要な資金はあと150万円。皆様のご支援をよろしくお願いします。

 

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