日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

話題の環境トピックス

Home 主な活動 話題の環境トピックス ヤマカガシ、ヒアリ……、危険な生物とどう付き合う?

話題の環境トピックス 一覧へ戻る

2017.08.02(2017.08.02 更新)

ヤマカガシ、ヒアリ……、危険な生物とどう付き合う?

読み物

専門度:専門度1

テーマ:環境教育外来種アウトドア・スポーツ

今年の夏は、「危険な生物」のニュースが多いです。

先日は、兵庫県の小学生がヤマカガシというヘビに噛まれ、一時意識不明になったことがニュースになりました。

ヤマカガシは、上顎に鋭い毒牙をもつマムシやハブとは異なり、口の奥に毒牙があるヘビで比較的おとなしいのが特徴です。カエルをよく食べ、サシバやクマタカといった猛禽類の餌になり、自然の生態系のバランスを保つ上で重要な役割をしています。

ヤマカガシもマムシもハブも、また死亡事故の多いスズメバチであっても、むやみに人を襲ってくることはなく、人からの何か良からぬ接触に対して生活を守るために防御手段を講じているにすぎません。
これらの生き物は、人にとって「有害な生き物」であっても、自然界のなかでは大切な役割を持っています。危険・有害な生物=駆除、と安易な方法とってしまうと生態系が崩れ、もっと深刻な問題がおきる恐れがあるのです。

自然が豊かな状態ほど、私たちは自然の恵みを受けた豊かな暮らしができます。一方で、自然は、人にとって「心地よい」ことばかりではなく、ありがたくない「危険」も秘められています。
自然との距離が遠くなった昨今、壁に囲われ、エアコンが効いた快適な室内と同じ「安全」をいつでもどこでも求めてしまうと、どうしても「危険」を排除しがちです。
しかし、子どもが「危険」を排除した快適な環境の中でばかり遊んでいれば、まさに「箱入り娘・息子」になってしまいます。子どものうちに自分で「危険」を認識して予測と回避する知恵をつけておくことは、生きていく上で重要なことです。

 

さて、「危険な生物」で最近話題のヒアリは、「外来種」という点で今回のヤマカガシとは違う問題があります。
ヒアリは、もともと生息していなかった日本に人間が持ち込んでしまった生物なので、日本の生態系に悪影響を与える恐れもあり、いかに発見された地域でヒアリを駆除できるかが、今、正念場となっています。

ヒアリの人体への危険性を伝えるニュースを見て、アリの殺虫剤を買い求める人が増えているかもしれません。しかし、未侵入の地域で「危ない」と怖がるあまりに在来のアリまでをむやみに駆除してしまうと空白地帯ができ、万が一ヒアリが浸入したときに定着しやすくなってしまうおそれがあります。安易な殺虫剤の使用は気を付けましょう。

ヒアリとヤマカガシで共通するポイントは、過剰に怯えるのではなく、その生物の特徴と万が一の対処方法を学んでおくことです。

 

豊かな自然に触れ合う機会が増える夏休み、秘められた「危険」と上手く付き合うことも自然の楽しみの一つと考えてみるのはどうでしょうか。「危険な生物」を正しく知って、未然に危険から回避することは、人間ならばできるはずです。

(自然のちから推進室 大野正人)

 

【参考本やウェブサイト】
書籍:「フィールドガイドシリーズ2 野外における危険な生物」(発行:平凡社、編集・監修:日本自然保護協会)

ウェブ:
臆病な毒ヘビ ヤマカガシを知って!(NHK ニュースウェブ)

ヒアリに関する諸情報について(環境省)

話題の環境トピックス 一覧へ戻る