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2017.06.12(2018.09.10 更新)

ハリーポッターの魔法学校がある!? 南硫黄島を調査

解説

専門度:専門度4

テーマ:外来種自然環境調査世界遺産

フィールド:

南硫黄島って知ってますか?

東京から南に約1300km、小笠原諸島よりもさらに300km以上南にあり、周囲7.5Km、標高916mの小さな島です。

人は住んでいません。というよりも、島の周囲は断崖絶壁で船をつけることもできないので、海が荒れていない日に島の近くまで小型の船で行き、ボートでさらに近づき、最後は泳いで上陸するしかない、という、近寄ることさえままならない島です。
そのため、人の影響を一切受けていない原生的な自然環境が残っている貴重な島です。

ちなみに、ですが、「ハリーポッター」の魔法学校が日本にもあって、その学校は南硫黄島の頂上にあるんだそうです!?

そんな南硫黄島で、この度10年ぶりの調査が行われ、日本自然保護協会の朱宮が調査に参加します!

 

※下の写真は、10年前の調査の際の上陸の様子。

現在は小笠原の父島で上陸に向けての準備や練習に励んている朱宮から、上陸準備の様子が届いているので、これから朱宮から届くレポートをご紹介していきたいと思います!

南硫黄島調査レポートはこちらから

が、まずは、今回の調査についての意義などをまとめているので、そこからご紹介します。


過去3回しか調査されていない南硫黄島。

エコシステムマネジメント室の朱宮です。

2017年6月13日から27日の予定で前回の調査から10年ぶりに南硫黄島の調査が行われます。
南硫黄島は小笠原群島からさらに南の火山列島に位置しており、父島から330kmも離れています。そのため、父島からさらに漁船で13時間かけてようやく南硫黄島に着くことができます。

実は、貴重な島であるにもかかわらず、過去に戦前(1936年)、戦後(1982年、2007年)3回しか調査が行われていません。
父島から遠く離れていることや、島全体が火山の急峻な地形からなり登頂が困難なことによります。
人が定住していない原生的な自然環境が残っており、外来種対策に苦労している他の小笠原の島々の保全目標となる島でもあります。
つまり、外来種が入る前の手付かずの自然が残っている唯一の島ということになります。今回は東京都からの委託業務をNPO法人小笠原自然文化研究所が請けて実施されます。
今回の調査の目的は、この島の生物相(植物、昆虫、陸上脊椎動物、陸産貝類、海洋生物、菌類、地衣類)や植生変化、気象観測を行い自然環境を明らかにすることにあります。

 

今回の調査で、まだまだ知られていない種類の生物が発見される可能性があります。

前回は、植物では9種の初記載種やオガサワラオオコウモリの生態、9種の陸産貝類の新種、22種の昆虫類の新種なども記載されました。
菌類や地衣類も調査が予定されているため新種の発見が期待されています。
急峻な島であるため登頂ルートは南側に限定されており、観察できる範囲がごく限られているので余力があれば新ルートの開拓も計画されています。

日本自然保護協会は、これまで小笠原の自然保護のために父島や兄島における飛行場建設計画への反対運動や自然観察指導員講習会の開催、南島における保護と適正利用のための自然環境モニタリング調査の実施、世界自然遺産登録支援、森林生態系保護地域保全管理委員会への参加などを行ってきました。

南硫黄島調査に関しては、1982年の調査に当時の研究員・滝口正三が植物班の一人として参加しました。前回2007年の調査では、私と藤田(当時九州大学の研究員、現日本自然保護協会職員)が参加しており、今回の調査にも参加することとなりました。

貴重な機会ですので、皆さんに調査の様子・報告をしたいと思います。
(南硫黄島ではインターネットもつながらなくなるため、島の様子については戻ってきてからのご報告となりますが……)

 

 

 

 

 

 

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