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日本の絶滅危惧種を守る

Home 主な活動 日本の絶滅危惧種を守る 「種の保存法」 改正に向けた検討会に登壇しました。

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2016.10.17(2017.04.07 更新)

「種の保存法」 改正に向けた検討会に登壇しました。

解説

専門度:専門度5

テーマ:生息環境保全

現在、自然保護に大きな関係のある法律のひとつ、絶滅のおそれのある野生動植物を守るための法律「種の保存法」の改正に向けた検討が進んでいます。

10月13日には、「種の保存法」の改正に向けた検討会が終了しました。11月以降に種の保存法の改正方針についてパブリックコメントがありますので、ぜひ今後の動きに注目して下さい。

NACS-Jはこの検討会の第1回会合(6月16日)の専門家ヒアリングに登壇しましたので、その様子を報告したいと思います。

 

生き物を守るための法律「種の保存法」

この検討会は、絶滅のおそれのある野生動植物を守るための法律「種の保存法」を、来年度改正するため環境省が主催している専門家会議です(正式名称「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会」)。

第1回検討会は、国内の絶滅危惧種の保全の課題が主なテーマでした。NACS-Jから、生物多様性保全室の藤田卓、また日本生態学会として吉田正人・NACS-J専務理事(筑波大学大学院教授)も関係団体・専門家ヒアリングに登壇しました。

絶滅する種が増え続けている状況を変えるには、保全のための予算・人員を増やすことはもちろんのこと、これまでにない新しい仕組みや取り組みが必要です。

日本自然保護協会からの提案

そこで、日本自然保護協会の藤田らは、種指定・保護区の設置・保護増殖事業計画などを国民から提案できる制度を新設して、市民の皆さんの保全活動を行政計画に位置づけたり連携する仕組みを法に入れ込むことを中心に15項目の提案をしました。

アメリカでは、調査研究によって絶滅が危惧される種にリストアップされると、政府が法律に基づく絶滅危惧種として指定し、保全回復計画が行政主導で始まります。保全のための予算は、日本の数百倍、人員も数十倍と桁違いです。

日本の「種の保存法」も、アメリカの法律に近づけたいところですが、人口減少社会を迎え多くの借金を抱えるなか、福祉や医療の充実など喫緊の課題が多数ある日本において、絶滅危惧種保全をすぐにアメリカのようなやり方で充実させることは困難が予想されます。

 

日本ならではの、市民や研究者の役割

日本の絶滅危惧種保全は行政だけでなく、市民や研究者がかなり大きな役割を果たしてきています。

このような市民や研究者の力があることは、アメリカにはない日本の強みです。市民や研究者の力や提案を、行政の施策と連携させたり、位置づけを与えることが、日本らしい絶滅危惧種を救う一つの方向性だと考えています。

詳しくは、

当日のプレゼン資料(PDF:2.86MB)

日本自然保護協会の意見書(PDF:0.2MB)

を御覧ください。

201610616syunohozonhou.jpg

▲検討会のようす


種の保存法改正に向けた日本自然保護協会の提案

1)国民との協働によって絶滅危惧種の保全を達成するための法改正の検討

【提言1】国内希少種 指定提案制度を法律に明記する(付帯決議4―3)

【提言2】生息地等保護区の国民提案制度の新設

【提言3】生息地等保護区の税制優遇措置の追加

【提言4】保護増殖事業計画の国民提案制度の新設

【提言5】多様な主体との連携を進めるための財政支援も含めた生息地等協働保全制度の新設

2)生息地保全を促進する仕組みづくりの検討

【提言6】種名を公表しない生息地等保護区を設定できるようにする

【提言7】多数の絶滅危惧種が集中するホットスポット型生息地等保護区の指定を新設する

【提言8】環境アセスメントにおいて絶滅危惧種の重要な生息地が確認され開発を回避した場合の保護担保措置を検討すべき

【提言9】公共事業は種の保存法の適用除外とする規定(第54条)を削除する

 

3)その他の改正ポイント

【提言10】レッドリストを種の保存法に位置づける

【提言11】種の絶滅の防止から、絶滅の危険がない状態まで回復させることを明確にするため、保護増殖事業を保全回復事業とし、計画策定の義務化を検討すべき

【提言12】国内希少種の選定・現状評価・保護増殖計画の評価見直しを行う科学委員会を常設することを法律に明記すべき(付帯決議5)

【提言13】「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」を法定計画とする(付帯決議4-1)

【提言14】 海洋生物を積極的に選定候補とする(付帯決議10)

【提言15】財産権の尊重(第三条)重視の改善


ほかに、東京大学の矢後勝也先生、日本生態学会の吉田正人さん、WWFジャパンの草刈秀紀さんから問題提起がありました。

 

挙げられた課題、論点は

A)捕獲規制や譲渡しの規制の課題

  • 指定前に採取した標本の扱いをどうするか?
  • 里地里山の絶滅危惧種は管理放棄などで減少しているが、種指定すると草刈などの管理で個体を傷つけてしまうなど管理がしにくくなる

B)生息地等保護区の指定に関する課題

  • 保護区があまりに少なすぎる(9箇所)のでもっと指定をしやすくすべき
  • イギリスの環境スチュワードシップ制度のような野生生物の生息地の管理を行う取り組みに応じて直接支払いが必要ではないか

C)保護増殖事業の実施のあり方について

  • 動植物園との連携を法律に位置づけること
  • 域外保全と域内保全を両輪として位置づけること

などでした。

 

「種の保存法」の目的と今後の課題

「種の保存法」は、2013年に21年ぶりに改正されて、「国内希少野生動植物種を2020年までに300種新規指定する」などの意欲的な目標が掲げられ、改正後の2年間で86種の追加指定が実現しました。

改正前89種だったことを考えれば大きな前進です。しかし最終目標は、種を指定するだけでなく指定後の保全を進め、絶滅の危機をなくすこと。今まで以上の努力が求められます。

予算と人員の確保を

さらに、法改正後の予算・人員はほとんど増加していないため、予算と人員の確保に加え、行政だけでなく多様な主体との連携による保全の推進などの新しい仕組みを法改正に入れ込むことが急務です。

今後は、4回の検討会を経て、11月頃に環境省から法改正に向けた方針が示され、パブリックコメントにかけられます。

みなさんも皆さんも注目いただき、是非現場からの意見を環境省に届けて下さい。

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